第六十ニ話
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てみるが、回りにはもうサラマンダーとシルフの姿は見えない。
やはり軽装シルフを一人取り逃してしまったようだが、レコンが麻痺させたリーダー格のサラマンダーが一人残っている。そいつから、何を話していたのか詳しく話を聞くことに――と、思っていた矢先。
リズに墜落させられたサラマンダーは、その身体をリメインライトに燃やしながらも地表に落ちており、なんとも隕石のようであったが――その隕石が、麻痺毒で動けなくなっている、リーダー格のサラマンダーに直撃した。
「あっ」
「えっ?」
取り逃したシルフ一人とレコンが麻痺させたリーダー格を除き、なんだかんだでほとんど倒した、今回の立役者ことリズの疑問の声とともに、隕石がリーダー格のサラマンダーに直撃した。リーダー格は、先の火炎放射の流れ弾にも当たっていたようで、二人まとめてリメインライトとなって消失した。
「…………」
これで彼らは何を話していたか、聞くことも出来ずに迷宮入りとなったのだった。
「えっーと……ゴメンね?」
「……いや、リズのせいじゃない。不幸な事故だ、きっと」
そういうことにしておこう。隣のレコンも苦笑いで肯定してくれていることだし。
「――それより、早く《スイルベーン》に戻って領主館に言わないと!」
スパイ疑惑があるとシルフの領主館に駆け込む。そうする事が出来れば、シルフでないリズ以外はとりあえず安心できる。確かに今から急げば、スイルベーン行きの船には間に合うかも知れないが……それは悪手だろう。
「落ち着けレコン。今からスイルベーンに戻ろうとしたら、何回敵に会うか分からない」
リメインライトとなって消失した敵がどこに行ったかは分からないが、レプラコーンの首都《ミスマルカ》で復活したならば、俺たちは船に乗るまでに必ず復活した彼らと鉢合わせることになる。
よしんば《スイルベーン》行きの船に乗れたとしても、その近くの森林地帯はシルフとサラマンダーの庭同然。彼らのテリトリーで勝てるとは、敵の数も分からないのに勝てるとは思えない。
「じゃあどうするのさ!」
「……《蝶の谷》」
レコンからの問いに、突如として俺が言い放った地名のような言葉に、リズは何を言っているか分からずに首を傾げた。
「《蝶の谷》?」
「あいつ等が密談してる時に、こう言ってたんだ。……知ってるか、レコン?」
あの時の密談でレコンが近づいて火炎放射を受ける前、俺とレコンで聞くことが出来たのは数単語。『蝶の谷』『襲撃』『装備』――その程度しかない。だが、何の手がかりも無いよりはマシだろう。
「確か……向こうのダンジョンを超えたところにある、シルフ領に近い谷、かな」
頭をひねって思いだしたらしい、レコン
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