第六十ニ話
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吹き飛んでいく。レコンともう一人の見覚えのないシルフしかいなかった筈が、突如として現れた――ように敵には見えただろう――レプラコーンのメイスによる改心の一撃によって……!
「ふふん、どんなもんよ!」
そう、まだリズにはレコンの《ホロウ・ボディ》が生きており、敵のシルフたちにまだその存在は知られていなかった。一緒に来ていた俺が《ホロウ・ボディ》を解除したことで、敵は勝手にこちらを『レコンとシルフ一人』と勘違いし……結果として、遠心力のたっぷり乗ったリズの一撃が、シルフに直撃したのだった。
レコンと周囲のサラマンダー部隊が事態についていけない中、リズはその翼をはためかせながら、木にぶつかったシルフを追撃する。まだ木にぶつかった衝撃から回復してないシルフに、さらにメイスを振りかぶるものの、敵のシルフも翼を展開しつつ木を蹴ってその場で軽々と一回転。
その一回転でメイスを空中へと行きつつ避けながら、自分の手元には短剣を展開する。その鮮やかな手口に戦闘職ではないリズは反応出来ず、メイスを地表に当てて空中のシルフに隙を晒してしまう。
「……このガキがっ、調子に乗んなっ!」
……しかし、その芝居がかった態度の欠片もないシルフの空中からの一撃は、リズに届くことはなかった。なぜなら、もはや彼に空中を自由に舞う権利はない。シルフも空中で身動きが出来ない事を不信に思い、反射的に翼を見て驚愕する。
「……なんだこりゃあ!?」
弦楽器のような美しい音を鳴らすシルフの翼には、漆黒のクナイが貫通しており、直前にぶつかった木にまで深々と突き刺さっている。翼がクナイによって、背後の木に縫い付けられている、といった状態だった。
もちろんそのクナイを投擲した持ち主は俺であり、久しぶりでも何とか腕は落ちていないことの再確認ともなった。そしてそのクナイの製作者は、目をキラりと輝かせながら、身動きの出来ないシルフにメイスを構える。
「誰、がっ、ガキ、よ!」
リズのメイスの四連撃を軽装甲のシルフが受けきられる筈はなく、あっさりとそのHPを散らしてリメインライトとなる。あまりにも哀れなシルフの末路へな同情と、スッキリした表情のリズに苦笑しつつ、とりあえず合流しようとしたところ――
「ショウキさん、危ない!」
――レコンの警告が俺に響く。リズにタコ殴りにされたシルフの救出はとうに諦めていたらしく、重装甲のサラマンダー三人による、突撃槍での空中からの同時攻撃。
てっきりリズを狙うとばかり思っていたが、まさかこちらに来るとは。予想が間違っていたことに舌打ちしつつ、新生《銀ノ月》の柄に手を添える。
「……《縮地》!」
瞬時に相手との間合いを詰めたり、相手の死角に入り込む体捌き――それにより、相手はこち
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