第六十ニ話
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舗装されている道路の上を飛びながら、ますます怪しくなっているシルフのことと共に、このゲームのことを思う。……ここはたかがゲームに過ぎないのか、それとももう一つの現実なのか。
デスゲームと化していたアインクラッドでは、ゲーム内であろうと『もう一つの現実世界』として結論づけて、そこでも自分を含んだ人々は日々を暮らしていた。……ならば、アインクラッドと同じような空間で、これだけ人を魅了しているこの世界は、どちらなのだろうか……?
そして両親にも秘密にしつつ、デスゲームと同じ舞台に、何故自分は来ることになったのだろう……?
「止まって!」
レコンのいつになく語気が強い言葉に考え事を中断し、近くの木の幹に着陸して翼をしまい込む。薄い緑色のその翼は、黒色のコートに溶け込まずに、違和感を放ってはいたが。
「どうしたの?」
「今、ショウキさんが立っている木の奥にいる。だから、ここからは落ち着いて行動して」
なんだか活き活きしてるようにも見えるレコンに苦笑いしつつ、そのシルフがいるという木の奥を見たものの、森林が深く奥まで見ることは適わない。しかし、ところどころ赤い飛行物体が飛んでおり、記憶が確かならばあれは……サラマンダーのサーチャーだ。
「ねぇ、あの浮かんでる変なトカゲはなに?」
「サラマンダーのサーチャー。敵が近づくと、プレイヤーに知らせる……だっけか?」
俺と同じように木の幹に着地したリズの質問に答え、レコンもそれに「うん、そうだよ」と肯定の意を示す。遠目で見るだけでもかなりの数が展開されており、見つからずに行くことは出来そうにない。
「レコン、どうするの?」
「ここは僕にお任せだよ。ちょっと待って」
レコンは少し長めの魔法の詠唱をすると、完了するとともに、三人に薄いマントのような物がファサりと音をたてて頭にかかり、身体に吸い込まれていくように消えていく。
「これは?」
「《ホロウ・ボディ》っていう隠蔽魔法の、パーティーにも使えるバージョン。大きな音をたてない限り、サーチャーにもバレないよ」
効果が絶大なだけあって長めの詠唱だったものの、闇魔法や武器に仕込んだ毒による暗殺がメイン、というレコンには必須かつ好きな魔法なのだろう。レコンは自信満々にそう答えてみせた。
「便利なもんねぇ……」
「……リーファちゃんには、良く悪趣味って言われるけど……それじゃ、付いてきて」
リズの言葉とリーファが言ったらしい言葉、二つ共に同意しながら、先を行くレコンについて行く。開けた場所を飛ぶとサーチャーにぶつかってしまうため、木々の枝の隙間をすり抜けるように飛んでいく。補助コントローラーだろうとベテランなレコンはともかく、俺もリズも数回木にぶつかりそうになっ
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