少女の作る不可測
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考えての発言かを理解出来た。
「そうね、計画に変更は無し。私達はそのまま攻めちゃいましょうか」
「なっ……策殿、何を考えておられる?」
敵の実力を正当に判断出来るから、祭の向ける言葉はまさしく正しい。彼女が生粋の武人であるという証明。
未だに難しい顔をして悩んでいる穏は……哀しいが冥琳に届くことは無いという事実を知らせてくれる。
私の王佐と呼べる冥琳だからその判断が出来た。そして私も王であるが故にそれを瞬時に汲み取れた。
「ふふ……祭の好きな言い方をするなら……獅子、千尋の谷に子を落とす、って所ね」
言われて二人ともが納得の表情を浮かべるも、やはり不安の影がその顔からは消えない。
今回の戦への参加を蓮華達が行えば袁術軍の風評は間違いなく下がる。それでも押し通してきたのはこの戦で早期に勝たなければ自身の治める国の状況が芳しくないからだ。つまりそうせざるを得ない状況に追い詰められているという心理の裏返し。
逆に考えれば絶好の好機となり得るモノ。前提条件として蓮華達の生存がついて来なければならないが。
「二万をたった一日で壊滅……聞こえはいいが敵が袁術軍であったからこそでしょう。我らが孫呉の精兵であればそのような事態に陥らず長期戦略を取れる、と鍛えてきた祭殿なら言えるのでは? それに……亞莎がいれば問題ない。穏、向かうのがお前であっても私はこう言っただろう」
最後の言葉は信頼。どちらも弟子として信じているという事。私は測り間違った。人とは成長していくモノ。それは軍師や王というモノが一番如実に現れる。将であれば武力を磨くのに長い年月を費やすが……判断力や決断力というモノは常に研磨されていくモノなのだから。蓮華にしても、亞莎にしても地金はあるのだ。その成長を助けるのも私達の役目であり、大いなる成長を信じる事にこそ意味があったのも一つ、か。
冷めた視点でモノを言うのならば……今回は勝利が目的では無いのだから兵の被害は別として重要な子達が助かれば何も問題は無く、黒麒麟の思惑は私達との戦中交渉である事が予測に容易い為にある程度の心理的先手を打てる……元からこちらを利用するつもりであれば少し痛い目を見て貰えるし、あの男の先見の才がどれくらいかも計れるのだから。
「ふむ……儂らは儂らの仕事に集中すればよいわけか」
「ですね〜。なんというか、全てが成長する機会になりそうです〜」
二人もそこまで思い至ったようで、のんびりとした穏の口調は天幕内の雰囲気をゆるく落ち着かせていく。張りつめていた冥琳の表情も漸く穏やかになり、苦笑が漏れ出ていた。
「計画の変更は些細なモノだけでいいでしょう。こちらは水軍を使うわけだから呂布への警戒も十分。弓の腕は祭と互角らしいから気を付けないといけないけどね」
「思春の
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