2部分:第二章
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麗に七連敗を達成した。しかもその最後はよりによってこのヤクルトに十九対三で惨敗したのだ。関西、いや日本全国に散らばる阪神ファン達はこれに対し血の涙を流した。
「よりによってヤクルトに・・・・・・」
無論この年も宿敵巨人には負け越している。
「かっては散々遊んでやったちゅうのに」
しかしヤクルトは歯牙にはかけていなかった。しかしそのヤクルトに徹底的にコケにされたのだ。
野村はここぞとばかりに嫌味を言った。彼の毒舌は巨人に対するよりも阪神に対する方が遥かに辛辣であった。
「御前は阪神に恨みでもあるんか!」
「阪神が御前に何かしたか!」
黒と黄色のファン達が血涙を流しながら叫ぶ。野村はそれを聞きながら毒舌を発揮し悦に入るのであった。
彼がもし巨人の監督だったならば命はなかったであろう。だが阪神ファンというのは不思議な人種であり巨人以外に対しては極めて寛容なのである。野村も恨みこそ買えど極端に憎悪されてはいなかった。
ともかくこの年も阪神は最下位になることを予想されていた。記念すべき三年連続の最下位は最早十月を待たずして、いや三月で既に確実視されていた。
バースもいない。江夏も村山も過去の伝説であった。最早阪神は何もなかった。いよいよか、皆その期待に胸を膨らませていた。しかしそれは見事なまでに裏切られた。
「もうダメ虎やないぞ!」
「わし等かてやれるんや!」
それはかっての優勝した時の戦士達が言った言葉ではなかった。いないと思われていた若手の選手達からのものであった。
阪神は復活した。何の前触れもなく、だ。まずその先陣を切ったのは亀山努であった。
「前へ!前へ!」
ヤクルトとの四月五日の戦いであった。試合はヤクルト岡林、阪神は猪俣隆の先発であった。二人は好投し八回まで二対ニの同点であった。だがこの回の裏に広沢のホームランが飛び出す。
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