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Fate/stay night -the last fencer-
第二部
魔術師たちの安寧
キャスター対策会議
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ンサーにかぶせていた予備ヘルメットを受け取り、シート下の収納に仕舞う。
サーヴァントにヘルメット必要なのかとも思うが、そこは交通ルールとしてだ。
フルフェイスのヘルメットを脱ぎ、ちゃんと顔を合わせて挨拶を交わす。
「商店街は人通りも多いし有り得ないとは思うが、一応完全に陽が暮れる前には帰る」
そう言うと、フェンサーが唐突にふわっと顔を寄せてきて────
「ええ、帰りをお待ちしていますわ。旦那様?」
────そんなことを、とても綺麗な笑顔で言われた。
今更またコイツとんでもねー美人だなとか、仕草がすげー可愛いなとか、セリフにときめいちまったりしたのが超絶恥ずかしい。
無意識に顔が赤くなっていくのが自分でも分かる。
多分夕暮れの赤色で誤魔化せていると思いたい。
「……じゃあ、また後でな」
無愛想気味に別れを告げ、ヘルメットをかぶりなおしてバイクを発進させた。
未だに胸がキュンキュンしているが、騙されてはいけない。
あれは途轍もないワガママ娘で、急に肘鉄入れてきたりプロレスに応戦したりする女だぞ!
しかしああいうのをギャップに萌える、というのだろうか。
普段の素振りからは想像できない一面が逆に魅力的である、とよく言われる類の。
キッと凛々しい表情、優しく柔和な笑顔、理知的な会話、子供っぽい言動。
端的に言うならば無邪気さ、と表現するのが相応だと思う。
夢の青年も、彼女のそんなところが好きだったのだろうか。
そもそもフェンサーと彼は恋人だったのか、結婚とかしていたんだろうかと。
普段は考えないフェンサーの人となりや人生について、よくない興味が向いてしまう。
誰かを知りたいと思うと、まずその人の過去について興味が向く。
現在の彼・彼女を形成しているのは過去にあるのだから、それは当然とも言えるのだが。
他者の過去を知ることはその人を知ることと同義────そんなものは、反吐が出るような妄想に過ぎない。
知ることと理解することは別物だ。
本当に想うのなら、過去など関係なくその人と向き合うことが大切だ。
知りたいが為に過去を覗きたがるのと、理解する為に過去を知るのは全く違う。
知りたがることを悪いこととは思わないが、俺としてはあまり好ましくない傾向だ。
人の過去など興味本位で覗くものではないし、それは親しい間柄の相手でも同様だ。
特にフェンサーについては、つい最近決めたことがあっただろう。
彼女の事が気になるなら、彼女に直接問う。
もしかしたらあっさりと色々話してくれるかもしれないし、逆に受け止めきれないような半生を語り出すかもしれない。
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