第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十五話 狂花は散りて……
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取っちゃってね。後は任せな」
弱弱しく嫌味を言う紫に神奈子がそう返すと紫は安心したかのように意識を手放した。それを確認した神奈子が幽香に視線を向けると、腹に刺さった槍を砕くつもりか妖気を荒れ狂わせる幽香の姿があった。それを見た神奈子は即座に幽香を取り囲む様に九本の御柱を円状に展開する。すると風が幽香を縛り上げるかの様に吹き荒れその動きを封じた。諏訪大戦の時に虚空にも使った神奈子の捕縛陣。
目を血走らせ雄たけびの様な声を上げる幽香を見ながら諏訪子が口を開いた。
「ねぇ神奈子、こいつってさあの話の妖怪に特徴が似てない?」
「…言われてみれば確かに一致する所があるね、でも何でこの郷を襲ってきたんだ?」
当然といえば当然な疑問を口にする神奈子に対して諏訪子はどうでもいい、と言う風に答える。
「襲ってきた理由なんてどうでもいいじゃん…どっちみちぶっ殺すんだから理由なんて関係ないし!」
そう言った諏訪子の瞳は怒りで黒く染まっており、その身からは神気が立ち昇り諏訪子の頭上に五メートルは軽く越す程の巨大な鏃が造り出されその切っ先を幽香へと向ける。そして諏訪子が手を振る動作に連動するかのように高速で撃ち出され、幽香目掛けて空を切って行く。
腹を貫かれ風の捕縛陣で動きを封じられている幽香にその一撃を防ぐ事は不可能であり血走った目で迫る脅威をただ睨む事しか出来なかった。しかしその巨大な鏃は天空から飛来した影が放った一撃で消滅してしまう。その光景を目にした諏訪子は戸惑い、逆に神奈子はその影に向け声を荒げる。
「何の真似だい!虚空!」
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
大ちゃんの何回目かの転移で漸く七枷の郷に辿り着いた僕達の目に飛び込んできたのは白煙を上げる町並みだった。予想通り間に合わなかった様だ。さとりとこいしは郷の惨状に言葉を失い、恐らく最悪の事態を考えているのだろう。
そんな風に郷を見下ろしていた僕は白煙が上がっている辺りに諏訪子達の神気を感じそちらに向かおうとした時、諏訪子の神気が高まるのに気付いた。まだ戦闘中?と言う事は。
「ごめんね三人とも!ちょっと先に行くよ!」
さとり達にそう言い残し返答も聞かずに全速力で諏訪子達が居る場所を目指す。そして状況を視界で捉えた時には諏訪子の頭上に巨大な鏃が造り出され、神奈子の捕縛陣に捕らえられている緑髪の女性に向け今にも撃ち出されそうな感じだったので咄嗟に色欲を抜き放ち、勢いを保ったまま放たれた鏃に向け突っ込み、その先端に剣を叩きつけると鏃は色欲が触れた箇所から形を狂わされ霧散した。
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