第三章 [ 花 鳥 風 月 ]
三十五話 狂花は散りて……
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というのか!何の違和感も感じなかったのに!何をされたのか全く分からない。そんな風に混乱する私の腹部に突如現れた女の鉄扇が突きこまれ、突然の衝撃に私は血と空気を吐き出しながら身体をくの字に折った。
「!ゴハッ!」
「郷を狙うなんて中々に酷い事考えるわね。でもこれで終わりよ、おやすみなさい」
腹部への一撃で動けなくなっている私に女がそう囁くと同時に急激な寒気を感じた、その瞬間私の意識は白く染まった。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
「はぁはぁはぁ…これで終わりね…はぁはぁッ」
地面に降り立った私の目の前には高さが四十メートル越、幅十メートル近い巨大な氷柱が出来上がり、その中には郷を襲撃した女妖怪が閉じ込めてある。女に動く気配が無い事を確認した私は女から受けた傷の痛みと疲労でその場に膝をついた。
あの女にとっては何が起こったのか理解出来なかった筈、私の『境界を操る程度の能力』は。
永く世界を渡り歩いてきたお父様曰く恐らく世界規模で最高級の能力らしい、世界そのものに干渉できる絶大な効果。物事の存在には境界が存在し、全てのものに境界が存在しなければ、それは一つの大きなものであることになる。即ち論理的創造と破壊の能力であり論理的に新しい存在を創造し論理的に存在を否定するものである。とは神奈子の弁。
つまりはやろうと思えば世界の在り方すら変える事が出来るという事、だが能力である以上発動するには使用者、つまり私の妖力が代償になる。操る現象が複雑になればなるほど、起こす事象の規模が大きければ大きいほど消耗は比例して大きくなる。
仮に世界を丸々一つ変えよう等と思ったら今の私が万単位で必要になるだろう。世界というものはそう易々と扱えるモノではないという事だ。
今回行ったのはあの女の攻撃を防ぐ時に空間の境界を操り一定の空間を位相し薄い異次元の壁を発生させた、壁の“そっち側”と“こっち側”では次元が違う為女の攻撃は前に進まなかったのだ。
次にやった事は地上と空中の境界を操り位置の概念を逆転させ、最後に大気の温度、湿度等の境界を操り一定範囲だけ急激に低温にし氷柱を創り出し閉じ込めた。今現在一定の空間を凍らせ続けているからあそこから脱出するのは不可能だろう。
後は神奈子達が来るのを待てばいい、そうすればあの二人の力で氷柱の外側からあの女を倒滅できる筈だ。そんな事を考え気を抜いた私の耳に何かが砕ける甲高い音が響き、その音がした方に視線を向けた瞬間極彩色の光に飲み込まれた。
□ ■ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
紫を飲み込んだ極彩色の閃光はその先にある町並みをも飲み込み、
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