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東方虚空伝
第三章   [ 花 鳥 風 月 ]
三十五話 狂花は散りて……
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った紫は執拗に攻撃を受けた腹部を押さえその場で膝を突き声を漏らす。

「っ痛…この…よくもやってくれたわね…!」

 紫の目の前で崩れた壁の瓦礫を振り払いながら幽香が立ち上がる、打たれた首を押さえ口の端からは血の雫をたらしながら。

「…それはこっちの台詞ね。どうやって殺してやろうかしら?」

 互いに凄まじい殺気をぶつけ合いながら次の一手を模索する。今のやり取りで互いに力量は把握した、あとはどうやって相手に決定打を与えるか。ほんの少しの時間膠着状態に陥っていた。
 しかし幽香が突然何かを思い付いたのか口角を吊り上げ嗤い声を上げながら左手を振り上げると開いた掌から極彩色の輝きが溢れ出す。

「あはははははッ!少し強めにいくわよ?避けられるものなら避けてみなさい!」

 そう言葉を吐くと同時に左から右へと掌を振りぬくと極彩色の光は指の軌道をなぞるように伸び巨大な五本の刃となって放たれ紫目掛けて空と地面を切り裂きながら疾走する。
 紫は咄嗟に回避行動を取ろうとしてその行動を中断した。今此処でアレを躱せばあの攻撃は間違いなくまだ避難が終わっていない郷の区画まで到達するだろう、と直感的に気付いたからだった。スキマに入れるには規模が大きすぎて展開する時間が無い、自分が取れる選択肢は防ぐ事のみ、そう思考すると同時に能力を使った。




□   ■   □   ■   □   ■   □   ■   □   ■




 あの女は躱さない、いや躱せないと踏んで放った防ぎ様のない一撃、躱せば後ろにある七枷の郷に更に被害が出る、私にとってどうでもいい人間達でも目の前のこの女には守る者達の筈だ、と思い攻撃を放ったが予想通り女は躱さなかった。愚かね人間なんて守るなんて。
 そんな事を考えた時、私は何か大事な事を忘れている様な見落としている様なそんな奇妙な感覚に襲われる。

(?何、何なの?何を忘れてるの?…守る?私が?誰を?私は此処に七枷虚空を殺しに来ただけだ…あれ?どうして殺しに来たのかしら?…守る者…?)

 私が思考の渦に呆けていると目の前でおかしな現象が起こっていた。それは、
 ()()()()()で私が放った攻撃が()()()()いるのだ。

「……は?」

 あまりにもおかしな珍現象に私は間抜けな声を出してしまう。何なのだろうアレは?私の放った刃は前に進む気配すら見せずに、まるで見えない壁に阻まれるかのようにその場に留まり輝きを失っていった。刃が消えた先にはあの女が変わらずに立っている。何だ?あの女の能力は何だ?そんな疑問にかられた私を更におかしな現象が襲う。
 いきなり私は空中に居たのだ、さっきまで確かに地上に居たはず!一体何時空中に上がった
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