奢り
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不思議と彼はその衝撃の中で笑みを浮かべていた。
やがて、衝撃が止むと釈迦堂はそのまま仰向けに倒れた。放たれた狼、銀は千李の元に戻ると、彼女に「なでてくれ」と頼むように頭を垂れた。
千李は銀の頭を撫でた後、銀を身体に戻した。そのまま倒れている釈迦堂に近寄ると、彼の頭をガスガスと容赦なく叩いた。
「ほら、こんなことで気絶なんてしてないですよね。タヌキ寝入りはやめてください」
「ばれたか。……あーぁ、ったくどんだけバケモンなんだよテメェは、本当にチートだろ」
「生まれてこの方バケモンなんて言われ慣れてるんで。あとチートもね」
「そーかい。つか、あの狼どうなってやがる、俺の気ごっそりと持って行きやがった」
「銀は相手の気を喰う性質があるんですよ。だから釈迦堂さんの気は今私の中です。嬉しいでしょう? こんな美少女に気を喰ってもらえるなんて」
千李は若干ドヤ顔で言うが、釈迦堂は肩を竦め呆れたように息を吐いた。
「バケモンの中に取り込まれてもうれしかねーよ。持っていかれた気は戻るんだろうな?」
「ええ。釈迦堂さんなら明日の朝には全回復しますよ。十分もすれば身体も動きますって。んじゃ私はこれで」
そういうと千李は踵を返し、ポニーテールを風にはためかせながら川神院へと戻っていった。
千李の後姿を見送りながら釈迦堂は、大きく溜息をついた。
「あー、クソッたれ。やっぱじーさんを倒したぐらいはあるな。……というかアイツあの狼に名前付けてんのか?」
素朴の疑問を抱きつつも、釈迦堂は気が戻るまで最近あまり見ることがなくなった夜空を仰ぐこととなった。
川神院へと戻った千李は着いて早々苦々しい顔をした。鉄心がムスッとした表情で待っていたのだ。
「た、ただいまージジイ。ちょっと遅くなっちゃったー」
「なーにが遅くなっちゃったー、じゃバカもん。お主釈迦堂と戦ってきたな?」
「それは……はい、スイマセンでした」
千李は頬を掻きながら頭を下げた。鉄心はそれに深く溜息をつくと彼女の頭に拳骨を落とした。
「痛ぁ!? 結構本気で殴ったでしょ!?」
「当たり前じゃ、全く前々から釈迦堂と会っておるとは思ったが話している程度じゃから見逃していたが、戦うのであればワシに許可を取らんか阿呆!」
「ぐぬぬ……。正論過ぎて言い返せない」
伏目がちに微妙な表情をする千李に追い討ちをかけるように鉄心が嘆息交じりに命じた。
「罰として、お主は暫く川神院の掃除洗濯食事の準備を二週間してもらうからな」
「マジで? 平日は?」
「無論平日もじゃ。この程度で済んだことに感謝せい」
鉄心はそういうとそそくさと自室に戻って行った。しかし、千
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