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真剣で武神の姉に恋しなさい!
奢り
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立つ瀬がないぜ」

「それは残念でしたねぇ。つーか釈迦堂さんも随分と腕が落ちましたね、修行サボってんじゃないですか?」

「そりゃあな。板垣の奴等鍛えてやってるけど自分の修行なんざ大してしてねぇからな。だが――――」

 釈迦堂が言ったところで、彼の体から黒い気があふれ出す。それは幼少の頃の千李が出していたそれと酷似していた。

 今までとは別の気配に千李も少し身構える。

 すると釈迦堂を取り巻いていた黒い気が彼の腕に収束し、輪を形成した。

「行くぜ千李。割と俺の取って置きだ。……いけよぉ!! リングゥ!!」

 咆哮と共に輪状の気の塊が千李目掛けて射出された。速度も速く、千李はそれをすぐさま避け、釈迦堂のほうに目を向けるが、既にそこに釈迦堂の姿はなかった。

 しかし、その瞬間、千李の後方に強烈なまでの殺気が現れた。千李がそちらを振り向いた時は既に遅く、釈迦堂は先ほどのように腕に気を溜めており、既に射出態勢に入っていた。

「さすがのテメェも零距離でコイツを喰らえば少しはダメージがいくんじゃねぇか?」

 ギラリと歯を除かせながら言った釈迦堂の目はまさに野獣だった。それに対し、千李は眉間に皺を寄せ悔しげに歯噛みした。

「喰らいやがれ、リングゥ!!」

 同時に射出された気の輪が千李に迫る。

 だが、その攻撃が彼女の身体に当たることはなく、千李はそれを掌で握りつぶした。

「なっ!? おいおい……マジかよ……」

「残念でしたね釈迦堂さん。ではそろそろ終わりにして差し上げます。……頭上にご注意ください」

 そういった瞬間、千李は余ったもう一方の手を空にかざすと、小気味良い音を立て指を鳴らした。釈迦堂が上を向くと、そこには一匹の巨大な狼がその凶悪な牙をむき出しにしながら彼を睨みつけていた。

 釈迦堂は回避行動をとろうとするものの、足が何かに固定されたかのように動かないでいた。

 見ると、彼の両足には上空にいる狼ほどではない小さめの狼が二匹、彼の足に喰いついていた。

「クソッ! 一体いつから」

「釈迦堂さんがあのーなんでしたっけ、リング? の最初の一発を撃った時上の狼を打ち上げて、私に二発目のリングを撃った時にその足元にいる狼を生み出したんですよ」

 髪をかきあげながら千李は軽く舌なめずりをすると、小さく笑みをこぼした後、上空にいる狼に命令を出すように腕を振り下ろした。

「――――堕ちろ堕天狼星(だてんろうせい)

 声と同時に頭上の狼がその顎を広げながら釈迦堂へと真っ直ぐに堕ちた。その速度たるやまさに刹那の時間であり、釈迦堂が逃げおおせる事は不可能だった。

 彼の身体にはまるで雷にでも打たれたのではないかというほどの衝撃が走った。しかし、
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