奢り
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「へぇ……。でも、まさか釈迦堂さんがタダでこんなこと言いませんよねー。なんか条件があるんでしょ?」
すると釈迦堂は先ほどよりもさらに悪人面な笑いを浮かべると、千李を指差した。
「察しがいいな。そうよ、そのまさかよ。条件は……千李、俺と戦え」
「あー……やっぱりね、大体わかってたけどサ。はぁ……別にいっか、どうせジジイには遅かれ早かればれるだろうし」
「随分とあっさりだな、もう少し渋ると思ったぜ。この前から一体どういう心境の変化だ?」
「いやなんといいますか、ジジイももう気付いてるっぽいんですよ。普通に『釈迦堂と会ったかの?』とか聞いてきますし。もう黙っててもしゃーないし、ケリつけようかと思っただけです」
息をつき、軽く首を傾げながら告げた千李に釈迦堂は面白げにくつくつと笑った。
ひとしきり笑い終えると釈迦堂は千李を見据えた。その目はまさに獲物を狙う野獣と言った感じだ。
「あのじいさんはハンパねぇもんな。それどどうする? ここでやるか、それとも移動するか?」
「ここでいいんじゃないですかね? どうせ廃ビルですし。それに釈迦堂さん程度なら一撃で終わりに出来ますし」
「ほぉ、言ってくれるじゃねぇか。俺を一撃かよ。これでもガキの頃のテメェとはそれなりに渡り合えてたんだがな」
「ガキの頃の話ですから、今はあの時以上に成長してますし」
二人は一定の距離をとりながら、言い合っているもの、二人の表情は実に対照的といってもいい感じだ。
千李は面倒くさそうに半眼でいるが、釈迦堂は待ち望んだ時が来たといった風にニヤニヤとしている。
「言っとくが『始め』なんて形式ばったことはやんねーぞ。仕掛けるのは各々自由だ」
「でしょうね。じゃ遠慮なく」
軽くはき捨てた後、千李は一瞬にして釈迦堂の眼前に躍り出た。同時に放たれた拳に間一髪反応した釈迦堂は後ろに飛び退きながら少し焦った様子で千李に言った。
「今の流れからすればどう考えても俺が仕掛ける流れだった気がするんだが?」
「えー、形式ばったことをしないんだったら別に私が仕掛けたっていいじゃないッスかー」
「うっせ。ったく、次は俺から行くぞ」
気を取り直すように釈迦堂は地面を蹴り、真っ直ぐと千李に向かって駆け出す。
「川神流、無双正拳突き!!」
放たれた拳打の嵐に千李は臆することなく真正面から相対すると、軽々とそれらを受け流し、避けていく。
決して釈迦堂の拳が遅いわけではない、寧ろその速さは百代にも匹敵する速度だ。しかし、それに対する千李の反応速度が速すぎるのだ。
涼しい顔で全ての攻撃を避けきった千李はそのまま後ろに後退した。
「相変わらずバケモンだなテメェは。元師範代の
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