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真剣で武神の姉に恋しなさい!
奢り
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は財布を確認しながら苦笑いを浮かべた。

「結構食べたわねー。十万くらいは持ってかれたかな」

「いやー、やっぱりおごりほどいいもんはないな。姉さんまた頼む」

「気が向いたらね。だけどそうホイホイと奢れるわけではないからね」

 嘆息気味に息をつきながら、財布を閉じた千李はポケットにそれを押し込むと皆を見渡した。

「さて、じゃあ皆もう帰りなさい。明日は学校だしなるべく早く寝なさいよ」

 千李は川神院とは逆方向に踵を返すと歩き出す、それを不信に思った大和が声をかけようとするものの、大和が声を発した瞬間、千李はその場から一瞬にして姿を消した。

 それに皆が驚いた様子でいると、

「ホラ、姉さんの言ったとおり明日は学校なんだからさっさと帰れよ」

 百代が瑠奈をおぶりながら皆に告げると、皆わらわらと家路についた。しかし、百代は千李が行ったであろう方向を横目で見やった。

「……無理はするなよ姉さん」

 彼女の呟きは夜の風と共に消えた。





 大和たちと別れた千李は建物の屋上を走りながら目的の場所に辿り着いた。千李はそこに着地しながら大きく息を吐いた。

「まったく……女子高生をストーキングするのもいい加減にしてもらえませんか? 釈迦堂さん」

 あきれ返った口ぶりのまま目の前の人物、釈迦堂刑部はニヤリと笑った。

「こんないいオッサンにストーキングされるんだったら寧ろ喜べよ」

「え? 自分のこといいオッサンって思ってるんですか? だったら病院行った方がいいですね、良い精神科紹介しますよ?」

「本気で取るんじゃねぇよ」

「誰も本気で取ってませんよ。で、今日は何の用ですか? 私だけじゃなくて百代にまで感知されてましてけど」

 首をかしげ訝しげに聞く千李に釈迦堂は思い出したように手を叩く。

「あぁそうだ。なんか川神学園でおもしろそーな事やるみたいだな。東西交流戦だったっけか?」

「ええ、やりますけど……。てか、何で知ってるんですか?」

「なぁに、噂ってのは簡単に広まっちまうもんだからな風の噂ってやつだよ」

 手をヒラヒラとさせながらあっけからんとした様子の釈迦堂に千李は肩を竦めてみるものの、ジト目で彼を睨んでいた。

「まぁそれはどっちでもいいですけど。で、東西交流戦がどうかしました? 言っておきますけど板垣の子達は出せませんからね」

「んなこたぁわーってるよ。俺が言いたいのはそういうことじゃねぇ。その東西交流戦の影響なのかしらねーけどよ。最近の仕事でちょっとばかし遠出してきてな、面白い噂を聞いた」

「面白い噂?」

「ああ。関西の方で一人結構強い奴がいるらしくてな。性別は女らしいが、学年や学校まではわかんねぇけどな」

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