最終話 平和を願って
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来たように見えるなりだ。とはいってもオーブはほんの数ヶ月前に戦争の被害にあったばかり。おそらくはマスドライバー施設や港の船など、中継点として訪れたのだろうとマスターは考える。
「まあ、そんな所かな?故郷巡りといった感じです」
「故郷巡り?妙な言い回しだね。帰郷とは違うのかい?」
「帰ったことのない故郷もあるからね。重なっている場所や行けない場所もあるから十か所ぐらいかな?」
変な回答を受けて訝しげな表情を見せながらも珈琲とサンドイッチを差し出す。
「何だ、故郷に観光地でもあるのか?」
「いやいや、言葉通り行く場所、巡る場所全部故郷ですよ。ここオーブの次は日本に行く予定です」
だからまず最初に移動が楽なオーブに来ました、などといいながら彼は珈琲を口にする。マスターはますます首を傾げる。故郷など、普通は一ヶ所だ。生まれ故郷と育った故郷では違う、という事はあるかもしれないし、第二の故郷というのもあるだろうが、流石にそんなのが十か所もあるというのは現実的ではないだろう。
「酸っぱいな……」
珈琲を飲んだ彼はそんな言葉を口にする。それを耳聡く聞きつけたマスターは自分の入れた珈琲の感想を聞くことにした。
「お、分かるかい?今日のブレンドは浅めに炒ってあるからな。味の方はどうかね?」
「悪くはないけど、好みじゃないな。個人的には目が覚める位深煎りの方が良いや」
そう言いつつ、サンドイッチを食べ終えた彼は会計を支払、すぐに出ていく。どうやら、長々と入り浸る気はない様だ。待ち合わせだとか、時間潰しではなく、単純にこの店に興味でもあったのか、珈琲でも飲みたかったのかもしれない。
「変な客だったとでも思っておくべきかね?」
「よう、また来てやったぞ。ステラにケーキでも食べさしてやってくれ」
「ネオは何にするの?」
少しして、新たに来た客に対応しているうちに先程来た客のことを考えるのは止めにした。
◇
「まさかとは思ったけど、本当に虎だったとはね……砂漠から宇宙に来て、今度は南国にでも改名する気なのか?」
先程のサングラスをかけた客だった彼はそんな事を言いながらオーブの慰霊碑にまでやってきていた。彼は誰もいないと思っていたのだが予想が外れ、そこにはキラ・ヤマトが居た。
「貴方は?」
互いに初対面の彼らは特に話すこともなくすれ違うのかと思ったが、キラの方から声を掛けられる。
「墓参りみたいなものだよ。家族やそれに近い人がここにはいるからな……」
「……その声?」
花束を置く男性。キラは聞いた声に心当たりがあり、尋ねようとするのだが、その前に彼が先に動いた。
「俺達は出会った事のない初対面の相手だ。そういう事にしておいた方
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