暁 〜小説投稿サイト〜
八条学園怪異譚
第五十九話 時計塔の話その十四
[1/2]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
「身体を動かすことも色々あるからね」
「トライアスロンだけじゃなくてですね」
「ランニングや水泳以外にも」
「そう、あるから」
 だからだというのだ。
「じっくり考えてみてね、歩くだけでもいいし」
「じゃあこれまで泉を探して色々回ったのもですか」
「よかったんですね」
「いい運動になってたと思うわ」
 実際にそうだったというのだ。
「あんた達にとってね」
「歩くこと自体がですね」
「運動なんですね」
「運動は難しく考えることはないのよ」
「歩くだけでもいいんですね」
「たったそれだけでも違うんですか」
「自転車に乗るのも運動よ」
 これもまただ、運動だというのだ。
「要するに身体を動かしてカロリーを消費すればいいのよ」
「じゃあお料理もですね」
「あと家事も」
「そんなこと前にお話したでしょ、だからね」
 それでだというのだ。
「身体動かすといいのよ。もっとも私はお掃除で身体を動かすことはあまりしないけれどね」
「いや、動かしましょうよそっちでも」
「お掃除はしないと」
 二人は茉莉也の今の言葉にはすぐに突っ込みを入れた。特に愛実は眉を顰めさせてそのうえで強く言った。
「整理整頓、清潔は」
「うっ、そう来るのね」
「そうですよ、ちょっとお掃除しないと」
 どうなるかというのだ。
「埃が積もりますから」
「じゃあゴキブリが出るのは」
「問題外です」
 ゴキブリが何よりも嫌いな愛実らしい言葉だった、尚ゴキブリ嫌いについては聖花も全く変わらない。二人共食べものを扱う店の娘だからだ。
「そこまでいったらもう絶対に駄目です」
「厳しいわね」
「というか常識ですよ」
 やはり厳しい声で言う愛実だった。
「お掃除は。しかも隅から隅まで丁寧に」
「愛美ちゃんそういうの厳しいのね」
「愛実ちゃんこうしたことはしっかりしてますよ」
 聖花もこう話す。
「家事については」
「そうよね、今そのことを再認識したわ」
「今でもうお母さんって言われてますから」
「私そこまで歳取ってないわよ」
 母親と言われることには抵抗のある愛実だった、それでこのことについては多少むっとした顔でこう返すのだった。
「まだ高校一年じゃない」
「昔は高校一年の歳で結婚してたけれどね」
 茉莉也はこう愛実に話した。
「十六歳で母親にもなってたわよ」
「今は違いますから」
「じゃあ愛実ちゃんまだお母さんには」
「なりません」
 むっとしてだ、愛実は茉莉也にすぐに言い返した。
「絶対に」
「あと十年位先?」
「それ位ですね」
 母親になるのは、というのだ。
「そう考えてます」
「そうなのね。まああんたも聖花ちゃんもいいお母さんになるわね」
 家事が出来てしかも気が利く、その条件は揃っていると
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ