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八条学園怪異譚
第五十九話 時計塔の話その十二

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「出雲の阿国もそういうのを匂わせる歌舞伎をしてたけれど」
「一人もですか」
「そういうことは」
「そうよ、全くね」
 罪に問われた人間はいないというのだ。
「いないから」
「だから女同士もですか」
「いいってなるんですか」
「不倫は悪いことだけれど相手が男の人の場合だから」
 女同士はならないから、というのだ。
「いいのよ。じゃあいいわね」
「よくないです」
「ですから趣味じゃないですから」
 とにかくこう言って引かない二人だった、こちらの話は平行線だった。
 しかしそれでどうにかなる茉莉也ではない、二人にここでこうしたことも言った。
「じゃあいいわね、泉に行ってね」
「それからですね」
「すき焼きなんですね」
「皆呼ぶわよ、学園の人達をね」
 学園の中にいる妖怪や幽霊達をだというのだ。
「オールスターだから」
「泉を見つけたらですか」
「お祝いで」
「そうするからね、場所はね」
 今度は場所の話になる、そこはというと。
「博士の研究室になるから」
「あそこどこまで広いかわからないですしね」
「どれだけでも入られますから」
「宴会の場所にも丁度いいから」
 実際にいつも妖怪達が集まって色々と飲み食いをしてお喋りや遊びに励んでいる、博士の研究室は普通の研究室とは違うのだ。
「しかも暖かいしね」
「暖房ついてるからですね」
「それで、ですよね」
「何でも博士常温核融合を開発されてるとかで」
 今度は超科学だった。
「錬金術か魔術の類かも知れないけれど」
「とにかくそうしたことを使ってですか」
「暖房もですね」
「冷房もね」
 暖房だけでなくこちらもだというのだ。
「そっちもね、電気とか石油を使わずにやってるらしいのよ」
「博士ならではですね」
「そうしたことも出来てるんですね、あの研究室」
「そうみたいね、まあとにかくそういう理由で暖かいから」
「宴会はあそこで、ですか」
「やるんですね」
「そうよ、もう寒いし」
 秋も進むと寒くなる、実際にもう夜は寒い。秋の夜は案外冷えるもので三人共それを感じだしているところだ。
 特にだ、愛実と聖花はこう言うのだった。
「私冷え性だし」
「私もよ」
 二人共だった、このことは。
「だからね」
「そうよね、暖かい場所でやってくれたらね」
「やっぱり嬉しいわよね」
「そうよね」
「そうよ、寒い場所で飲んだらね」
 そうしたらというのだ、茉莉也も。
「後が冷えるから」
「秋はもう冷えますからお外ではですね」
「飲めないですね」
「風邪ひくわよ」
 当然の成り行きとしてそうなるというのだ、茉莉也は冷え性を気にしている二人に話す。
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