第五十九話 時計塔の話その三
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「だから安心して行ってね、私もついて行くし」
「えっ、先輩もですか」
「来られるんですか」
「面白そうだからね」
茉莉也は楽しそうな笑顔で二人の顔を見つつ応える。
「それに最後の最後だし」
「だからですか」
「一緒にですか」
「そう、私も泉が何処か気になってたし」
茉莉也にしても学園にある泉の場所が何処なのか、そしてどういった場所なのか気になっていた。それで最後の最後にだというのだ。
「一緒にね」
「時計塔にですね」
「三人で」
「行こうね、ただ泉に入るのはあんた達二人よ」
「あれっ、先輩は」
「先輩は泉に入られないんですか」
「当たり前でしょ、あんた達が探してたのよ」
だからだとだ、茉莉也は二人に笑顔のまま答えた。
「だからね」
「それでなんですか」
「泉にはですか」
「そうよ、入らないから」
あくまで同行するだけだというのだ。
「そういうことでね」
「じゃあ私達二人で行ってきます」
「泉の中には」
「そうしてね。それで終わったらね」
その時はというと。
「お祝いよ」
「お酒、ですよね」
「それですよね」
「それとおつまみにお菓子もね」
この二つもだというのだ。
「忘れないでね、もうどれもたっぷり出すから」
「泉を見つけたお祝いですか」
「それでなんですね」
「そうよ、やっと見つかるからね」
それが確実だからだというのだ。
「盛大にやるわよ」
「三人で、ですか?」
「私達で」
「いやいや、皆でよ」
茉莉也は二人に笑顔で話した。
「それはね」
「皆で、ですか」
「お祝いするんですか」
「そうよ、妖怪さんも幽霊さんも皆集めてね」
そうしてだというのだ。
「派手にやりましょう」
「幽霊さんは食べられないですけれど」
「それでもお呼びするんですね」
「そう、皆そう言ってくれてるのよ」
既にあちらから話が来ているというのだ。
「日下部さん達からね」
「そうだったんですか、日下部さん達からですか」
「もう事前に」
「そうよ、折角泉を見つけるんだから」
既に決まっていることだからだというのだ、二人が泉を見つけるということは。
「だからね」
「幽霊さん達も集まってくれて」
「そうして」
「楽しいお祝いよ。勿論私も小林先輩も来られるから」
あの七生子もだというのだ。
「楽しみにしててね」
「あの魔女の先輩ですか」
「独特の絵の」
二人は七生子についてはこうした感じで思い出した、二人にとってあの絵は到底忘れられないものだった。あまりにも独特な為に。
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