第九十二話 百腕の巨人その四
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その一瞬でだ、まさになのだ。
「僕の運命が決まります」
「幸福か死か」
「どちらか」
そのどちらかだった、そうした話をして遂に動物園の中に足を踏み入れた。そして彼等は動物園の広場に出た。
そこにはもう聡美達がいた、広場の端にいる。広場の中央に入るとそこから様々な檻や動物のコーナーが見える。
その端に立つ三人を見てだ、コズイレフは彼女達にも言った。
「では」
「はい、見させてもらいます」
「貴方の最後の闘いを」
「お願いします」
三人に対して言った。
「一瞬ですが」
「そうですね。確かに闘いは一瞬です」
聡美がそのコズイレフに言葉を返す。
「しかしその一瞬で貴方は」
「全てが決まりますね」
「貴方の道を進まれて下さい」
闘いに勝ちそしてだというのだ。
「是非」
「そのつもりです。では」
「間もなく十二時よ」
今度は智子が言って来た。
「いいわね、準備は」
「はい」
智子の言葉にも応えてだ、そしてだった。
その右手に巨大な大刀を出した、片刃のそれを。
そしてその剣を構えてだ、前を見ていると。
声が言って来た、まずは挨拶を交えてだった。そのうえでコズイレフに夜の空に浮かぶ月のある方角から言って来た。
「では」
「はい、十二時になればですね」
「怪物を出します」
彼の相手となるそれをだというのだ。
「そして闘ってもらいます」
「最後の最後にですね」
「そうです」
まさにだというのだ。
「後は貴方のご自由に」
「それでは」
コズイレフも応える、そして。
遠くから音が鳴った様に聴こえた、ここで大石が言った。
「十二時です」
既に広場とは端、聡美達がいる場所とは正反対の場所にいる。そこからの言葉だった。
そしてだった、その言葉と共に。
大石の前の地面が大きく動いた、そしてそこからだった。
アスファルトをまるで紙の様に破って巨人が出て来た、しかしそれは剣士達がこれまで闘ってきた巨人達とは全く違っていた。
一見すると何かわからない、何とだ。
頭が数えきれないだけある、そして両腕もだ。一体どれだけの数があるかわからない、黒い身体にギリシアの鎧で武装が為されている。大きさはギガンテス程だ。智子はその巨人の姿を見て唸る様にして言った。
「ヘカトンケイル」
「あの五十の頭に百の腕を持つ」
「ええ、それよ」
まさにそれだとだ、コズイレフに答えた。
「大地の女神ガイアが産んだ巨人族の一つよ」
「確かこの巨人は」
「かつては幽閉されていたわ」
智子はここでヘカトンケイルの生い立ちについて語りはじめた。
「キュクロプス達と同じくね」
「その恐ろしい姿故にですね」
「そうよ。ヘカトンケイルも神の一族よ」
大地の女神ガイアから生ま
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