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八条学園怪異譚
第五十八話 地下迷宮その八
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「しかも中々辞めなかった」
「でしたね、本当に」
「とんでもない人でしたね」
「この目で見た最低最悪の輩の一人じゃった」
「博士から見てもですか」
「そこまでなんですか」
「うむ、全く以てな」
 博士は忌々しげに語っていく。
「ああした輩も世の中にはおるがのう」
「そうした人が総理大臣になったらですね」
「ああなるんですね」
「無能だけならまだよい」
 阪神大震災の時の様にだ。
「しかし無能なうえに人格下劣で無責任で自己中心的であるならな」
「ああなるんですね」
「とんでもないことに」
「あの笑いに全て出ておる」 
 下卑たその笑顔にだというのだ。
「何処までも品性卑しき輩よ」
「まだ生きてますけれど」
「それでも責任逃れと責任転嫁に終始してますよね」
「本当にとんでもない人ですよね」
「震災起こった時もこれで辞めなくて済むとか言ったそうですし」
 その時この輩は日本国民を拉致した実行犯に金を送っていたことを追求されていた、貰ったどころではなく送っていたのだ。このことはこの輩の前任者も同じだ。鳥の様な名前の代々政治家を出し祖父は総理大臣にまでなった『華麗なる』一族出身の輩だ。
 しかし震災が起こってだ、それでその話が吹き飛び震災対策のパフォーマンスで支持率も上げようと目論んで言ったのだ。
「そんな人だからですね」
「ああしたことをしたんですね」
「そうじゃ」
 やはり忌々しげに言う博士だった。
「ああした輩は二度と出してはならん」
「ですね、本当に」
「とんでもないことになりますから」
「ああした風になるから」
「絶対にですよね」
「選挙では人を選ばねばならん」
 それこそマスコミの無責任かつ無知な、下手をすれば特定勢力と結託したうえでの報道に惑われることなくだ。
「さもないとああなる」
「若しくはもっと酷いことにですね」
「なるんですね」
「そうじゃ、気をつけるのじゃ」
 こう話すのだった、そして。
 博士はその扉の前に来てだ、こう二人に言った。四人の自転車はその重そうな扉の前で停まっている。
「ではここじゃ」
「この扉がですね」
「ひょっとしたら」
「泉かも知れぬ」
 その候補地だというのだ。
「若しや、じゃがな」
「確率は半々ですね」
 愛実は自転車に乗ったまま息を飲む様にして述べた。
「それは」
「ここでなければな」
「時計塔のところがですね」
「あそこの最上階がな」
 まさにそこがだというのだ。
「そうなる」
「本当に半々なんですね」
 またこう言う愛実だった。
「その可能性は」
「そうじゃ、そう思うと楽じゃな」
「ですね、これまでもそうでしたけれど」
「どちらにしてもすぐに見つかる」
 泉がだというのだ。
「ではよいな」

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