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八条学園怪異譚
第五十八話 地下迷宮その六
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松代大本営の話を聞かされた昭和帝はその松代には行かないと明言された。空襲を受けつつも帝都に残り頑張る臣民を捨てて自分だけ行けるかというお考えであられたのだ。
「そうしたこともあった」
「それでこの学園の下にもですね」
「あるのじゃよ」
「その防空壕なんですね」
「そうじゃ」
 まさにそうだというのだ。
「それがこの地下迷宮じゃ」
「学園の人達がいざという時に中に入る為に」
「当時の理事長さんが海軍と協力して秘かに作っておった」
「よく誰にもわからなかったですね」
 ここで愛実がまた話に加わってきた。
「こんな巨大なものを作っていたのに」
「そこは気を使った、当然な」
「あくまで極秘にですか」
「真夜中に入ってやっておったしのう」
 作ることをだというのだ。
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