第36話。変人と月入りの時。
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side 遠野志貴
「終わった・・っ!いろんな意味で・・・・」
机に突っ伏して寝る弓塚さん。実は今日で中間テスト最終日。あの夜から数日が過ぎた。
「数学なんて死ねばいいんだ。生きていちゃいけない存在なんだ」
「なるほど、数学は生きていると。哲学的ですなぁ弓塚さん。」
有彦が茶化す。ポカポカと殴る弓塚さん。・・・・あぁ、日常に戻ってきたんだ。
「・・おーい。遠野戻ってこーい」
「・・・・なんだよ有彦」
「いやなに。遠野仙人がまた遠くの世界に旅立ってましたから?呼び出しただけでございますよ」
馬鹿にしたような口調で話す有彦。・・・・でも事実だから強くは言えない。
「ね・・ねぇ、遠野君はどうだった?」
「ん?テスト?・・・・普通かな?」
「授業に出ない、休みがちの遠野が、なんでいつも平均キープ出来るのか疑問でしょうがないんだが」
「そういう有彦だってそうだろ?」
「うううっ。その頭の良さを分けて欲しいです。」
友人と話をするだけで、『日常に帰ってきた』と感じるのは、あの夜がいかに非日常な出来事だったのかを物語っていると思う。
こんな日常も、あともう少し・・・・
「でもでも!英語と世界史は自信があるもんね!」
「おっ?そうなんか?弓塚?」
「そうだよ?晋吾くんとの進路相談で、学校の先生になるって決めてから勉強の捗り方が全然違うの!」
「晋吾?・・もしかして中学生位の関西弁を話す子か?」
「え?遠野くん知ってるの?」
話を聞くと、命の恩人で進路相談をしてもらったらしい。・・ハハッ、さすが晋吾ってとこなのかな?
「てか弓塚。先生になるのか?」
「・・うん。気を遣うことが出来て、人気もでそうだから、向いてるんじゃないかなって言われて」
「やる気になったと」
・・・・そうか、弓塚さんも導かれたんだな。晋吾に・・・・
「ハッ!そういえば遠野くんは進路どうするの?」
「俺?」
「おいおい。俺には聞かんのか?」
「え?乾君受験するの?」
「お前が俺をどう見ているかよーくわかった」
「・・・・留学するよ」
「え?」
「え?」
後にさつきは語る。初恋が砕けた瞬間を感じたと。
「2年生が終わったら留学する。だから、みんなとはもう少しでお別れだ」
学校が終わって、夕食の時間。今日は秋葉も一緒に食べれることが出来た。
「・・・・兄さん」
「ん?」
「あの話、考え直してくれませんか?」
「・・・・ごめん秋葉。これだけは譲れないんだ。」
そう。俺がやりたいこと。
・・・・人を『救う』。晋吾みたいにうまくやれないけど
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