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SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
Ex3.心配以上に信頼を
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 こういう経緯もあり、翌日の午後一時、皮肉にもSAOの公式サービス開始時間のちょうど二十四時間後に、県内のSAO虜囚者の一斉移設が始まった。
 東雲には近くの総合病院の一室を充てられた。
 俺も、俺の両親も、そして東雲の両親も見守る中、東雲は移設された。
 一時的にとはいえ移設のために回線を切断しようとしたときは、言いようも無い恐怖感に襲われたが、特に問題も無く東雲は病院へ移ることが出来た。
 ニュースでは、移設への途中で予想外のトラブルが起こり、そのまま猶予時間内に回線を繋ぎ直すことが出来ずに……という人もいたらしい。
 もし、東雲がそうなってしまったら……そのニュースを見た時は思わずぞっとした。

 余談だが、茅場晶彦の犯行声明から一日と経たずに一斉移設を行うという偉業を成した若い県議会委員は、その行動力と組織力、そして被害者の家族を想っての配慮を認められ、数日後には全国的な評価を得ることになった。次は国会選に出馬するのではないかという噂が広まるのもそうそう遠くない未来だろう。









「……健太。お母さん今日はもう帰るけど、あんたも長居はしちゃ駄目よ?」
「わかってるって。もう少ししたら帰るよ」

 あれから毎日、俺は東雲の見舞いに病院へ来ていた。
 東雲が寝ているベッドの横の椅子に座り、じっと黙って東雲を見つめる。
 あの日、東雲の両親が言った、心配もするが、それ以上に信じている、という言葉が俺の頭から離れない。

「……俺にも、出来るかな? お前を信じて、お前が帰ってくるまで待つことが……出来るかな?」

 俺の問いに応える者は、応える事が出来る者は此処には誰もいない。
 要は、俺自身がどれだけ東雲を信じられるか。信じて、東雲が帰ってくるまでに何が出来るのか、なのだと思う。
 東雲の友達を続けたいなら、俺はこのままでは駄目な気がする。
 何かを、今はまだ解らないけど何かをしなければいけない。そんな気がするんだ。

「……東雲。……俺、変わるから。お前が帰って来たときに、今度はちゃんと胸を張って友達――いや、《親友》だって……言えるようになるから。……だから、さ。早く……帰ってこいよな……っ」

 俺はそう言って、病室を後にした。


 ――東雲。お前がSAOで戦っているのを同じように、俺も戦うよ。俺も……強くなるからな。

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