第六十話〜終幕〜
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いうものを確立させてから間もない子供だ。だというのにいきなり無限に流れ込んでくる様々な意識を制御もせずに受け止めているとなると、どこまでが自分でどこからが自分なのかが分からなくなるのだ。
(Cの世界に鑑賞して意識の流れを制御するか?その場合どこから干渉する?第一コードを持っていない自分にそれができるのか?)
するべきことは判明しているが不安材料が思考を席巻していく。だが、それでもやらなければならないと決意したライの行動は早かった。
「蒼月、パラディン。シンクロシステム、チューニングシステム起動。空き領域を全て演算処理に回せ!」
いきなりデバイスを取り出し何かを始めようとするライに終始困惑する周りの3人に気を回すこともせずに、ライはヴィヴィオの額に手を置いた。
???
ヴィヴィオは翻弄されていた。
自分に混ざるように、溶けるように、通り過ぎるように、ぶつかるように、包むように、痛めつけるように迫る意識の波。
それをどうすればいいのか、そもそもこれが何なのかすら理解していないヴィヴィオは恐怖で感情を染めていく。
それがどれだけ続いたのか。一瞬かもしれない、永遠に近い時間が経っていたのかもしれない、ここに時間というものがあるのかどうかも分からない。そんな中、ヴィヴィオの腕と思われる部分を掴む何かが現れた。
普段であれば、取り乱し、遮二無二その腕を振り払っていたであろうヴィヴィオは、しかしその腕に安堵を覚えた。何故ならその腕の温もりを知っていたのだから。
「パパ?」
声としてそれが伝わったのか、それとも念話のように頭に響いたのかは分からないがヴィヴィオの言葉に応えるように、彼女の求める声が返ってくる。
「ヴィヴィオ、良かった」
未だにヴィヴィオが確固たる自身を認識していることに安堵するライ。だが、ぐずぐずしてもいられない為、即座に本題を切り出す。
「ヴィヴィオ、これから君をここから連れ出す」
「?」
「説明してる時間はない。だけど君を連れ戻すことは確実にできる。だから――――」
「パパは?」
「…………」
子供の直感か、それとも意識が通じていることで自分の考えが読み取れたのかヴィヴィオは鋭い質問をしてくる。
「パパも一緒?」
「……ヴィヴィオ、僕は残ってやらなければならない事があるんだ」
「!……いや」
「ヴィヴィオ……」
「パパも一緒じゃないとダメ!」
必死に懇願してくるヴィヴィオに困りながらもライは必死に気持ちを伝えようとする。
「ヴィヴィオ、僕も絶対にそっちに戻る。だけど、それは今すぐというわけにはいかない。今そっちに戻るとまたヴィヴィオが苦しむことになるかもしれないから」
「
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