第六十話〜終幕〜
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警戒態勢。うちらはずっと最前線やったから今はシフト組んでアースラで小休憩中や」
「地上部隊の指揮は?」
「ウチの隊長、副隊長が全体指揮をとっとるけど、もう敵の規模的にはそろそろ引き上げどきかな」
はやての返答で、戦闘はほぼ終了したとライは察した。それに安堵すると同時に、今回の戦闘で出た死傷者の事やこれからのこの世界の事を考えると、ライは自然と暗い表情を浮かべた。
「ライ君、割り切るんも大事なことやで」
「……うん」
苦悩するライを見ていたはやてとなのはは、その全てを背負うとするライを悲しく感じると同時に、それ以上に人の命をどこまでも重く尊いものとして受け止めている彼に愛おしさを感じた。
ライは一旦ネガティブな思考を振り払うように、首を振ってから再び口を開く。
「六課が保護した人達は?」
「健康面で問題のない人たちは今フェイトちゃんが聴取をしとる最中。怪我人は個室で治療中。ヴィヴィオは隠れて見えてないけど、ここのベッドで寝とるよ。レリックの摘出はこの後行う予定」
「ゆりかごの破壊は?」
「管理局の艦隊が増援として衛星軌道上にそろそろ来るはずやから――――」
はやてが言葉を言い終える前に医務室に投影型ディスプレイが展開される。そこには今まさにゆりかごが大気圏を離脱しようとし、それを防ぐように管理局の保有する艦隊が到着した画像であった。
「これってリアルタイム?」
「うん。破壊は艦隊がアルカンシェルを使うことになってる」
ライの質問になのはは答えた。
映像は音声がなかったが、映し出された艦隊の先端に砲身らしき魔法陣が展開され、それをゆりかごに向ける。
「……」
その光景をライは見つめる。それは1つの決別であった。
ゆりかごの消滅はライが元の世界に戻る手段を失うこととほぼイコールである。それはもう自分の親友や友人、戦友、守りたいと願った人達との永遠に別れを意味する。
(何を今更…………女々しい事を)
ゼロレクイエムでその覚悟はしていたというのに、いざ生き延びるとその覚悟はやはり鈍る。
どこか諦観しようとしながら、ライはその映像を見つめ続ける。それはライの近くにいるはやて、なのは、シャマルの3人には彼がひどく儚く見えていた。
そんな4人の心境には関わりなく状況は進む。
映像の中で、各艦隊が砲撃を発射し、ゆりかごが幾つもの光に貫かれ、飲まれる。
そして光が収まる頃にはそこには何も残らず、静粛だけが残っていた。
「終わった」
呟いたのは誰だったのか。長くも短くも感じる事件の終止符を感じた4人であった。
しかし、彼らにとっての終わりはゆりかごの消滅ではなかった。
「ああああああああああああああああああああ
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