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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第302話】
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こんな恥ずかしい名前がいっぱいあんの?」

「……それは、メニュー表を作られたメイドの方々が面白半分でつけた名前ですので」


 ……まあ流石に俺もこれを言うのはかなり嫌だ。

『湖畔に響くナイチンゲールの囀ずりセット』と『深き森にて奏でよ愛の調べセット』とかは、一夏が何度も復唱させられてたな。


「……せっかくだから、こっちの『執事にご褒美セット』と『執事がご褒美セット』、頼んであげるわ。 ……どうせ、あんたまだ一夏みたいに呼ばれてないでしょ?」

「えぇ。 ……正直、値段が高くても一夏にご褒美あげたり、ご奉仕されたりするのを選ぶ人の方が多いんだよ、これが」


 そっと耳打ちで告げると、くすぐったそうに身を捩る鈴音。


「じ、じゃああたしが最初のお嬢様になってあげるわ。 ……感謝、しなさいよね?」

「ありがとうございますお嬢様。 ……では、『執事にご褒美セット』がおひとつ、『執事がご褒美セット』がおひとつですね。 ……それでは、暫くお待ちください、お嬢様」

「う、うん。 ……何か調子が狂うわね……」


 深々とお辞儀をし、俺はメニュー表を直すと一旦鈴音の元から離れる。

 キッチンテーブルへと向かうと、既に頼んでいたオーダーが用意されていた。

 ――というのも、胸元のブローチ型マイクからキッチンへと音声で通じるらしい……金の掛け方が違うな。


「おー。 ヒルトー、待たせたー」


 そう言って『執事にご褒美セット』と『執事がご褒美セット』を渡す玲。

 彼女も勿論メイド服である。

 ……調理担当だと少し不安もあったが、マイペースで続けてるようで安心だ。


「サンキュー」

「おー。 またオーダーが入ったから戻るー」


 そう言って戻る玲を他所に、俺はアイスハーブティー×2と冷やしポッキーをトレイに載せる。

 ……因みに、一夏だと千五百円で俺だと三百円という五倍差――それでも一夏の方を選ぶ客だけなので、商売としてはボロい商売だろう。

 まあそれはそうとして、鈴音の待つテーブルへと向かう。


「御待たせ致しました、お嬢様。 此方が執事にご褒美セット。 そして此方は執事がご褒美セットとなっております」

「……両方おんなじ内容なのね。 ……まあいいけど」


 特に不満はないようなので、一礼してから俺は鈴音の正面の椅子に座る。

 二人掛けのテーブルに差し向かう俺と鈴音。

 ぱちくりと瞬きした鈴音は、状況が理解できたのか少し顔を赤らめていた。


「先程ご説明した通り、執事にご褒美セットは、お嬢様がこのわたくしめにポッキーを食べさせるセット内容でございます。 そして、その逆が執事がご褒美セットとなってお
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