ヘルヘイム編
第10話 センセーに相談だ
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――あと10年で地球はヘルヘイムに完全に侵食されて滅びる。
その真実を知った日から、咲は誰にも真実を打ち明けずに一人考え続けている。咲がどうすればいいか、どうするべきかを。
だが、11歳の頭で地球の存亡を考えても、まともな答えなど出なかった。
よって咲は早々に思考を棚上げし、手っ取り早く聞けるオトナにアタックすることにした。
「センセーはさ、あと10年で地球滅ぶよって言われたら、どうする?」
その相手というのが、ダンススクールの講師である。休憩時間中に、フロアの外の窓の前でタバコを吹かしているところを捕まえて尋ねてみた。
「最近のアニメの設定かい? セカイ系?」
「マジメにきーてるの!」
「ハイハイ。んー、10年か。10年…10年後…」
頬杖を突いた講師。咲はどきどきしながら講師の答えを待った。
「アタシなら諦めるかなあ」
「あきらめ、る」
「だって来るもんは来るんだろ? とりあえずギリまで今まで通りあんたたちみたいなコドモのセンセーやって、最後の1ヶ月くらいで実家に帰って親孝行かね」
講師の答えはどこまでもあっけらかんとしていた。
「こわく…ないの?」
「怖いよ。怖いから諦めるんだよ。諦めて、しょうがないって物分りのいいフリして、怖い気持ちをやり過ごすの。アタシみたいな行かず後家はその程度の生き方がお似合いさ」
「イカズゴケて……センセー、スタイルいいし、ダンスできるし、かっこいいのに」
「うん、アリガト。でもセンセーはそんなふうにしか言えない程度の人生しか送ってこなかったんだな。今あんたに語ってるのもオトナの見栄ってやつだし」
「見えないよ」
「見えちゃったら見栄の意味ないからね。がんばって取り繕ってんの」
にしし、と笑う講師はどんな無理もしていないように見えたが、そうではないと本人は言う。
「もうちょい奇麗めの答えもあるけど聞きたい?」
「聞きたい」
「ありふれたので悪いけど――思い出作り」
「どうやるの?」
「そりゃ友達と旅行行ったり遊んだりだね。やりようはいくらでもあるでしょ。センセーは友達いないからよく分かんないけど、咲ならよりどりみどりでしょ?」
「よりどり――」
咲は自分の中で「トモダチ」に分類される人物を浮かべてみる。
ヘキサ。モン太、チューやん、ナッツ、トモ。
紘汰、光実、戒斗。舞たちチーム鎧武の人々。
合同イベントから仲良くなった数々のビートライダーズのチームのメンバー――
「――みどりかなあ?」
軒並みダンス繋がりである。ダンスは大好きだが、そのジャンルでしかトモダチがいないというのは、健全な小学5年生としていかがなものか。
「ゼータクだぞ。センセーなんかダンス関係でもぼっちだった
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