暁 〜小説投稿サイト〜
少年少女の戦極時代U
ヘルヘイム編
第7話 ヘルヘイムの森の奥
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トからロックシードを取り出した。まさか戦う気なのか。仲間のはずなのに。
 だが咲の恐れに反し、光実が出したのはロックビークル用の錠前だった。

 光実が錠前を放るや、ローズアタッカーが展開される。

「咲ちゃんは、クラックの向こう側が“どこ”なのか考えたことはある?」
「森でしょ」
「それもあるけど、もっとスケールを大きくして。あそこはそもそも地球のどこかなのか、全く異なる惑星なのか。過去なのか、未来なのか、パラレルワールドなのか」
「んと……バクゼンと、アマゾンあたりかなあって思ってた。よくわかんないけど」

 光実が苦笑した。笑わないでほしい。小学生にとって森といえばアマゾンか富士の樹海なのだ。

「実はね、そこんとこはユグドラシルでもはっきりしてないんだ」

 光実は咲にヘルメットを渡した。咲がそれを着けると、後部座席に乗るよう促される。
 咲はロックビークルの後ろに跨って、光実の腰に掴まった。異性と密着がどうこうと言っている場合ではないくらい、クラックを越える時のツイストは激しいのだ。

 案の定、ローズアタッカーは発進するなり、大きくツイストしてヘルヘイムの森へ抜けた。


 森に着いてからも光実はローズアタッカーをそのまま走らせた。左右の景色が後ろへ過ぎ去っていく。
 崖際らしき場所まで来て、ローズアタッカーは停まった。

 眼下に広がる光景を見て、咲は愕然とした。


「ただここには確かに、一つの文明があって、人間だって住んでいたんだ」


 それはヘルヘイムの植物に覆い尽くされた、都市らしきものの残骸だった。
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