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IS【インフィニット・ストラトス】《運命が変わった日》
【第301話】
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ない――それどころか、冷やしたポッキーを出すという手抜きさ――。

 まあこれには理由があるので追々説明するとして次は雑務全般。

 皆が皆、メイド服に袖を通して外でビラを配る班、切れた食材の補充班(これには俺も駆り出される)、そしてテーブル整理、最後に大変なのが廊下の列を整理しているスタッフだ。


「はーい、此方二時間待ちでーす」

「ええ、大丈夫です。 学園祭が終わるまでは開店してますから」


 ……この通り待ち時間に対する苦情に対応していて、一応一時間毎に交代する形をとってはいるが、精神的に参りそうなぐらい忙しそうに動いては謝罪をしている。

 ……まあ、その原因となった当の本人はというと――。


「じゃーんけーん……ホイッ!」

「あーん、負けたぁ……。 ツーショット写真がぁ……」


 ――と、ツーショット写真をかけたじゃんけんをしている。

 一夏が勝ったため、勿論あの子はツーショット写真は撮れず仕舞い、哀れ……。

 ……まあ、また並べば良いんだけど、列の並びがあり得ない長さになってるから多分諦めた方が無難だな、うん。


「ヒルトさん、ネクタイが曲がってますわよ?」

「ん? ……あら、ちゃんと締めたんだけどなぁ……」


 そう言ってネクタイをほどき、再度結び直そうとするのだが――。


「あ、お待ちくださいな。 ……わ、わたくしがネクタイを締め直しますわ」

「ん? ……そっか、悪いなセシリア」

「い、いいえ……。 うふふ……♪」


 嬉しそうな笑顔でネクタイを締めてくれるセシリア――と。


「……セシリアズルい。 僕だって締め直してあげたいのに……」

「あら? 今回は早い者勝ちですわよ、シャルロットさん?」


 軽く頬を膨らませたシャルは接客を終えて真っ直ぐに俺とセシリアの元に来た。


「……ヒルトさん、これで大丈夫ですわよ?」

「ん? シャル、どうだ? ちゃんと締まってるか?」

「……す、少しずれてるかも? だ、だからやり直さないといけないよね!?」


 見た感じだとセシリアがちゃんと締め直してくれたと思うのだが……。

 だが、下手に断るとシャルの機嫌も悪くなるし……。


「わ、わかったから。 ……じゃあ、頼むよシャル。 セシリア、せっかく締め直してくれたのにごめん」

「はぁっ……ヒルトさんは優しすぎますわ……。 き、嫌いではありませんけど……」


 そう頬を赤く染めたセシリアだったが、客が来たため接客へと戻っていった。

 そんな様子を眺めていると、シャルは再度ネクタイをほどくとまた締め直す……と。


「……こうしてると、何だか新婚さんみたい……」
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