第九十一話 戦いでも得られないものその三
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それで口篭る、しかしこうは言えた。
「ただ、私はお姉様が本当はおわかりになられていることを」
「私に決めよと」
「さもなければ私達は」
聡美の声の色が変わった、このうえなく辛い色に。
「お姉様と」
「私と貴女達、特に貴女は」
声は三人、特に聡美に対して返した。
「神話の頃から共にいました」
「そうです、本当の姉妹の様に」
「私としてもそれはとても」
したくない、声も言う。
「この言葉に偽りはありません」
「では」
「しかしです」
それでもだとだ、声は言うのだった。苦渋に満ちた決意があるその声で。
「私は決めたのですから」
「ではそうなってもですか」
「私は彼と共にいます」
こう言って引かなかった、それも一歩も。
「それが私の選んだ道なのですから」
「そうなのですか」
「私は何よりも素晴らしいものを見つけました」
「愛ですね」
「愛はこの世で最も素晴らしいものです」
目覚めた、まさにそう言うに相応しい言葉だった。
「ですから私は」
「私達と戦うことになろうとも」
「進みます、では」
「今はですか」
「これで」
こう言い残してだった、そのうえで。
声は気配を消した、後には三人だけが残った。聡美はその三人だけになった中で唇を噛み締めさせて智子と豊香に言った。
「戦いは終わりに近付いていますが」
「その終わりはね」
「辛いものになりそうですね」
智子と豊香も応える、豊香は悲しい顔で智子も普段の冷静な顔ではなく眉を顰めさせてそのうえで言った。
「極めて」
「私達にとって」
「すいません」
聡美は二人にも顔を俯けさせてこう言った。
「私が巻き込んでしまいました」
「いいわ、そのことは」
「私もです」
二人は聡美の今の言葉には微笑みで返した。
「どちらにしてもお姉様をお止めしないとならないと思っていたから」
「最初から覚悟もしていました」
「だからここはね」
「三人で最後まで戦いましょう」
こう話すのだった、これが今の二人だった。
そうしてだった、智子が聡美と豊香に言った。
「それではね、今はね」
「今は?」
「今はといいますと」
「暗い話をしても何にもならないから」
それでだというのだ。
「お茶にしましょう」
「お茶ですか」
「ではお茶菓子も出してですね
「楽しみましょう」
今はこうする三人だった、三人は戦いのことは今は置いておいて楽しむこともした。その終わりは刻一刻と近付いていても。
コズイレフは大石の教会に赴いた、そこで彼に言うのだった。
「宗派は違うのですが」
「神がおられるからですね」
「お邪魔しました」
まずはこう言うのだった、大石はカトリックの神父でありコズイレフはロシア人でありロシア正教の信
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