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八条学園怪異譚
第五十七話 成長その十

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「むしろ弱いから」
「だからよね」
「そう、だからね」
 それでだというのだ。
「あの人達がいてくれないと」
「寂しいから」
「そう、それじゃあ」
 それならだとだ、聖花はここで言った。
「泉を見付けても」
「いいわよね」
「ええ、じゃあ」
「置いておく?」
 その泉をだというのだ。
「そうする?」
「そうね、じゃあ」
「そういうことにする?」
「それがいいかもね、これまでずっと泉を探してきたけれど」
 愛実はここで言った。
「それでもね」
「どうするかまではあまり考えてこなかったから」
「それに見付けて封印しても」
 それでもだった、例え見付けた泉を封印してもそれはだ。
「妖怪さんや幽霊さん達がこの学園に入られなくなって」
「そう、住むことが出来なくなるから」
 妖怪や幽霊達はこの学園に定着するには泉から入らなくてはならない、二人はこのことについても話した。
 聖花もだ、ここでこう言うのだった。
「あの人達には迷惑なことよね」
「新しい人が来なくなるから」
「そうよね、私達が封印するにしてもね」
「理由ないわよね」
「ええ、ないわ」
 聖花は愛実に答えた。
「それはね」
「そうよね、それじゃあ」
 こう考えていってだ、愛実は結論を出した。彼女の結論を。
「泉を見付けてもね」
「何もしないのね」
「それがいいんじゃないかしら」
 こう聖花に話す。
「誰にもいいことはないし」
「そもそも封印するっていう考えもね」
「そうした場所が漫画とかだと大抵封印されるから」
「だから何となくそう思っただけだしね」
「封印される様な場所に思えないでしょ」
「ええ、私もね」 
 考えていけばだ、聖花にしてもそうだった。
「そんなことする必要ないわ」
「そうでしょ。それじゃあね」
「泉を見付けてもね」
「封印しないってことでね」
「そういうことね」
「私この学園の妖怪さんと幽霊さん達好きよ」
 愛実は前、その少し上に死線をやって聖花に言った。
「皆ね」
「私も。確かに姿形や能力は人間のものじゃないけれどね」
「性格は人間だからね」
「そう、心はね」
「いい人達よね」
 このこともだ、愛実は聖花に言った。この言葉は確認の問いだ。
「あの人達って」
「ええ、とてもね」
「あの人達は学園にいられるけれど」
「新しい人が入らなくなることはね」
「寂しいから」
「だから泉はね」
 それはどうするべきか、二人が出した結論は同じだった。
 愛実も聖花もだ、共に言った。
「泉を見付けてもね」
「何もしないってことでいいわね」
「封印はせずにそのまま」
「置いておくってことでね」
 現状維持、それが二人の出した結論だった。それに封印するといってもそれは。
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