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万華鏡
第五十六話 クライマックスその十二

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「その質問にはね」
「まあそれならいいけれど」
「あんたがそう言うのならね」
 二人は部長が答えないと見てこう言った。
「というかそのうち消えるでしょうし」
「いるのなら」
「だからノーコメントよ」
 やはり言わない部長だった。
「とにかくね」
「今はそうしてなのね」
「飲むのね」
「飲めよ乙女」
 今度はこう言う部長だった。
「そういうことよ」
「飲んで踊れなくならない様にね」
「そこは気をつけてね」
 二人は部長にこう注意をした。
「焼酎は強いし」
「それを大杯で飲んでるからね」
 余計にだというのだ、そして二人もだった。
 普通のガラスのコップで飲みながらだ、こう言うのだった。
「いや、最後のお酒はね」
「やっぱりいいわね」
「全部終わってって感じで」
「格別よね」
「そう、これがまたいいのよ」
 部長は焼酎を大杯で飲みつつ話す。
「いや、最高だわ」
「その通りよね。そのことは」
「お酒は普通の時に飲んでもいいけれど」
 二人もまた飲みつつ部長に応える。
「全部終わってから飲むとね」
「本当に格別よね」
「やっぱりいいわ」
「勝利の美酒っていうかね」
「そんな感じよね」
「勝ったっていうと何に勝ったっていうか」
 部長はつまみのピーナッツを口の中に入れつつ話す、ついでに柿の種も食べつつそしてこうも言うのだった。
「自分に勝った?」
「最後までやり遂げた」
「そういうことよね」
「そうそう、そうした勝利なのよ」
 仕事をやり遂げた後の勝利とは、というのだ。
「私はそう思うわ」
「かもね、誰とも戦ってないし」
「そうなるわよね」
「あと解放ね」
 それを祝うという意味もあるというのだ。
「仕事が終わってその重荷から解放されたっていう」
「あと仕事が上手にいって嬉しい」
「そのことも祝ってよね」
「それでなのでしょうね」
 仕事が終わった後の酒がこのうえなく美味いということはというのだ。
「それでこんなに美味しいのよ」
「大仕事の後のお酒は」
「これだけ美味しいのね」
「そうそう、あと私もかなり飲むけれど」
 ここでだ、茉莉也はちらりとキャンプファイアーの方を見た。そこでは赤と黒の派手な制服を着た小柄な女の子が背の高い男子生徒と一緒に踊っている。
 その娘を見てだ、こう言うのだった。
「あの娘もなのよね」
「ああ、茉莉也ね」
「あの娘ね」
「茉莉也ちゃんも飲むのよね」
 その彼女を見て言うのだった。
「特に日本酒をね」
「あの娘神社の娘だからね」
「だから飲むのよね」
「あの娘まさにうわばみよね」
「鯨みたいに飲むのよね」
 鯨飲、この言葉がそのまま当てはまるというのだ。
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