第五十六話 クライマックスその九
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「お話する機会ないし」
「そうね、今じゃないとね」
「お話する機会ないわよね」
「それじゃあね」
「今から」
「ええ、この娘達にも話しておくわ」
一年の娘達にもというのだ。
「今からね」
「それで何なんですか?」
「キャンプファイアーで何かあるんですか?」
「一緒に踊るとって」
「一体何が」
「若し好きな相手と一緒に踊るとね」
部長は一年の部員の問いに明るい笑顔で答える。
「その相手と一生一緒になれるのよ」
「何かそういうお話多いですよね」
「文化祭のフォークダンス、今がそうですけれど」
「そうした時に踊ると何かがあるって」
「ありますよね」
「そう、それはうちの学校もなのよ」
八条学園でもだというのだ。
「そうしたお話があるのよ」
「それ本当のお話ですか?」
一年の一人が右手を挙げて部長に問うた。
「キャンプファイアーの時に一緒に踊ったらっていうのは」
「どうかしらね」
部長はその娘の問いにはあやふやな声で返した。
「その辺りは」
「真相は不明ですか」
「ええ、そうよ」
ただそうした噂話があるだけだというのだ。
「私も実際に踊ってないし他の娘もね」
「確かめた人はいないんですか」
「実際にどうかっていうことは」
「一生よ、長いわよ」
人間の一生、それはというのだ。
「実際にそうなった人がいるかどうかね」
「それはわからないですよね」
「実際にそうした人が死ぬまで」
「やってみた子はいたけれどね、去年も」
試しにそうしてみたカップルはいたというのだ。
「けれど今のところはね」
「いないですか、別れられた方々は」
「今のところは」
「ええ、いないわ」
このことは実際にそうだというのだ。
「私の知る限りだとね」
「じゃあ本当ですか?」
「キャンプファイアーの時に好きな相手と一緒に踊れば一生一緒ですか」
「そうなれるんですか」
「実際に」
「まあ好きな相手がいる人はやってみたら?」
ここではこう言った部長だった。
「自分で確かめるってことでね」
「はい、それじゃあ」
「実際にそうしてみます」
何人かがここでこう言って来たのだった。
「今の彼氏と一緒に」
「そうしてみますね」
「そう、そうしてみてね」
また言う部長だった。
「そうしたらわかるから、自分で」
「わかりました、それじゃあ」
「私達が実際に」
「まあその相手が本当にいい人ならいいけれど」
それでもだというのだ。
「中にはそうでない相手もいるから」
「ああ、屑ですね」
「屑男ですね」
「はっきり言うわよ、自分の彼女に暴力振るう男とは一緒に踊らない様にね」
絶対にという口調だった。
「若し一生になったら大変よ」
「顔はよくてもですね」
「
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