希望のギルド
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「ジェラール!」
ジェラールがニルヴァーナの封印を解いたのは、危険な魔法であるニルヴァーナを誰も手に入れられないよう、完全に破壊する為だった。
ニルヴァーナに自律崩壊魔法陣を組み込んだジェラール。
せっかくここまで来たニルヴァーナを破壊されてはたまらない。
解除コードを吐くようコブラに言われるが、彼が吐いたのは解除コードではなく血だった。
ジェラールは自らの体にも自律崩壊魔法陣を組み込んでいたのだ。
(魔法陣の解除コードを墓場に持っていく気かよ!?)
コブラが目を見開く。
エルザはジェラールに向かって駆け、その胸倉を掴んだ。
「許さんっ!このまま死ぬ事は私が許さん!お前には罪がある!思い出せ!何も知らぬまま楽になれると思うな!それでお前がキズつけた者達に償えると思うな!」
ジェラールの目に、緋色が映る。
「生きてあがけっ!」
エルザは叫んでいた。
その両目から、涙を流して。
「ジェラーール!」
体を小刻みに震わせるジェラールが、ゆっくりと口を開く。
「エルザ・・・なぜ・・・君が涙を・・・」
そう言われ、エルザは自分が涙を流している事に初めて気づく。
涙を拭った指にはそれを証明するかのように水が付いていた。
「やさしいんだな・・・」
「ジェラール!しっかりしないかっ!」
薄い笑みを浮かべ、ジェラールは再び力なく倒れ込む。
そんな彼にエルザは必死に呼びかける。
すると、そこに新たな声が響いた。
「これは一体何事か・・・?」
『!』
響いてきた声に全員の視線がそっちに向く。
そこには、六魔将軍の司令塔であるブレインがいた。
「自律崩壊魔法陣・・・」
「ブレイン」
コブラが呟き、エルザが涙を拭う。
「ジェラールが組み込みやがった!まずいぜ!このままじゃせっかくのニルヴァーナが消滅しちまう!」
慌てた様子でコブラが叫ぶ。
が、ブレインは特に慌てず、ニッと口角を上げた。
「案ずるな、コブラよ。私がなぜ脳というコードネームで呼ばれているか知っておろう?私はかつて魔法開発局にいた。その間に我が知識を持って造り出した魔法は数百にものぼる」
自分を睨みつけるエルザに目を向け、笑みを浮かべたままブレインはニルヴァーナへと歩いていく。
「その1つがこの自律崩壊魔法陣。私がうぬに教えたのだ。忘れたのか?ジェラール」
ジェラールに記憶はない。
だから知らないのだ。
ブレインはニルヴァーナに背を向ける形で立つ。
「解除コードなど無くとも・・・」
バッと、杖を持っていない左手を上げる。
「魔法陣そのものを無効化出来るのだよ、私は」
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