暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
血塗れ交響曲
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世界が破裂する音を聞いた事があるだろうか。

心意の力が全開にされたそれは、爆音や衝撃波の領域すら超えていた。人間に聞き取れる範囲を遥かに超えた、世界が放つ苦痛の悲鳴。悲鳴の余波の余波、その切れ端になって初めて爆風と化す。

悲鳴の切れ端は大の男達を塵のように吹き飛ばし、半径だけでも五メートルはあろう大木の幹を飴細工のように捻じ曲げる。

真っ向からぶつかる力と力が互いの存在を喰い合い、因果律に干渉していく。

「がぁああああああアアアアアァァァッッッ!!!」

「ごォああああああアアアアアァァァッッッ!!!」

短刀と旋棍(トンファー)

二つの異なる武器が、心意という力で接合される。

互いの過剰光の色は漆黒。負の意思を礎とした負の心意だ。

ッガガギャギャギャギギギザザザッッ!!

空中に火花の閃光を迸らせながら行われる《鬼》達の闘いは並行的に見えて、しかしその中に大きなうねりが存在する。

心意を扱うのに、天賦の才というものは不要とされる。

心の奥底への深々度集中。

力を発現させるにはその一言に尽きる。一般的に心意を習得するための一番の近道は瞑想と言われているのだ。そこに才能というものが入り込む隙はほとんどない。せいぜい集中力があるかないかくらいだ。

しかし、彼らの動きを見てもまだ同じ事が言えるだろうか。

この鋼鉄の城の中で《鬼》と化したモノ達の、力の片鱗を見ても。

「や、やべぇって………。リーダー完全にイッちゃってるよ」

「ど、どーする!?」

「ど、どーするったって……」

慌てふためくメンバー達を尻目に、ドバァッッ!!という轟音が連続して響き渡る。千切れ飛んだ大木が、さながら弾丸のように飛んでくる。

悲鳴が上がる。

振り返ると、そこには腰の辺りから上がごっそりと抉り取られた仲間の姿があった。心意の影響なのか、傷口からは本物の血のような液体が冗談みたいな勢いで噴出している。

ひぅ、とノドがおかしな動きをする。

指先が震え、鼓膜が正常な働きをしていなかった。周囲の怒声や轟音が、やけにくぐもって聞こえてくる。

「そ、そーだよ……。リーダーになんて、俺達ゃ足手まといなんだよ。だから………邪魔にならないように下がってようぜ?」

挙がったその提案は、全員の心を惑わし、そして折るには極上過ぎる甘さだった。

虫がいいとは思ってる。

情けないとも思ってる。

しかし、ついていけない。眼前で戦う《鬼》達と自分達の間に、単に数字の上では図れないレベルの壁を見、絶望する。

本当の強者は、それを見た凡才どもの心を、意図せずに叩き折っていく。

悪魔は戦う。

修羅は闘う。

鬼神は…………嗤う。

「クソった
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