暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜慟哭と隔絶の狂想曲〜
血塗れ交響曲
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れ………」

忌々しげに呟く男の横を、何でもないかのように誰かが通り過ぎた。

「………………………………?」

あれ、ちょっと待て。

あんな奴、ウチのメンバーにいたか?

あんな、綺麗な青髪を持つ女なんて。










獣と鬼の戦いは、まともに見ることができる者がいたら九分九厘こう評しただろう。

完成されている、と。

二人の最凶の動きは、互いの攻撃的な一切の動作を的確に先読みし、完璧に押さえ込んでいた。そのために、両者の動きは一種のダンスを踊っているかのようだ。まぁ、実際の舞踏会で刃物やらトンファーやらを振り回す馬鹿はいないとは思うが。

空間に異常な歪曲を起こしながら、時間に異常な圧力を加えながら、二人の鬼は縦横無尽に《踊り狂う》。

火花が散り、金属質の悲鳴が響き渡る。

二人の動きは、言うなれば限界まで水が張られたカップのようなものだ。ちょっとでも動かそうものなら、両者の間に極限まで張り詰められているバランスは即座に崩壊するだろう。

仮に、周囲で見ている【狂った幸運(ドラッグ・ラック)】のメンバー達の中の一人でもこの戦いの中に飛び込んできたら、即座にこの戦闘は終わりを告げるだろう。もっとも、その時に立っているのがどちらかは分からないが。

そんな、薄氷の上を歩くかのような剣戟の最中、《ソレ》は飛んできた。

どちらが先に気が付いたかは分からない。

だが、気が付いた時には自分の腕から短剣の柄が飛び出していた。

「……………………え?」

トレースしようとした回避行動が遅れた。

攻撃しようとしていた軌道が大幅にズレた。

それらは同時に、相手にも言えることであろう。キッチリ受けようとしていた攻撃の軌道がズレ、防御されると確信していた一撃がすり抜ける。

結果的に、互いの得物がクリティカルヒットし、《凶獣》ノアは鮮血を撒き散らし、《冥王》レンは衝撃の余波を空間に撒き散らす。

よろめくノアに対し、綺麗に水月(みぞおち)に入った一撃はメゴキィ!という音とともに小柄な身体をボロ屑のように吹き飛ばした。二度、三度、と丈の短い草の上を勢いよくバウンドし、ようやく止まる。

「ご…………ォッ!!」

ノドが変な風に収縮する。

ごぷっ、という音とともに吐き気が込み上げて来て、熱い塊が口から出た。それはバシャッ!という音とともに地面に醜く広がり、目も覚めるような真っ赤な水溜りを作った。

口許から血の線を引きながら、紅衣の少年は立ち上がる。三半規管を揺さぶられて平衡感覚がおかしくなっているにも関わらず。指先が震え、右目の焦点が痙攣しているように上手く定まらないにも関わらず。

立ち上がる。

「…………………………何でだ
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