第34話。変人とシキ。
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たのに・・・・
ん?何を?何を話したかったんだ俺は?
―――――オレにアイツをコロサセロ―――――
ビクンッと体が跳ねる
「志貴さま?」
急に体を震わす志貴に心配そうな表情を向ける翡翠。
「大丈夫だよ。・・・・大丈夫」
そう・・志貴は翡翠に言いながら自分に言い聞かせた。
夜の街を歩く。
と、言っても街はまだ、帰宅中の人々で溢れていた。
しかし、この街には人にまぎれて闇が潜んでいる。
志貴が公園に向かう途中、裏路地で死者の気配を感じた。なぜかはわからない。
全身が叫んでいる。ここにいると。そして・・・・コロセと。
慌てて晋吾がくれたカードを探す。
ニヤリと口端が釣りあがる。路地裏にはいりこみ
「変身」
言葉を紡ぐと共に溢れ出す死者達。さらに口端が釣りあがる。
―――――コロセ―――――
脳が言葉を発するかのように幻覚しながら志貴は死者を殺す。
一番太い線を示してくれるゴーグル。かつて裸眼で、ネロ・カオスの獣を切った時のような強い痛みを感じさせない。
―――――コロセ―――――
頭の中はコロセと命じているが、志貴は殺している感覚はない。
これぞ救い。意志を無くし、殺されていながら生かされ続けるバケモノを救う。
タリナイ・・・・タリナイ。
粗方の死者を屠った志貴はフラフラと街を歩き始める。
タリナイ・・・・タリナイ・・・・スクイガ・・―――――コロセ―――――・・スクイガ・・
呼応するように付けたままのゴーグルが起動し、視界にマップを表示させる。
「神社・・・・」
フラフラとしながら、赤く表示された神社に向かう。
鳥居を超えたそこには、視界を埋めつくさんばかりの死者で溢れていた。
志貴のすることは、ただ線をなぞるだけ。
それだけで死者を『救う』。バケモノをコロセ。バケモノに救いを・・・・
脳裏に浮かぶ記憶にない少年時代の記憶。
殺したくない、殺したくないのに。俺はアイツを・・・・
『頼むよ。ナナヤ・・・・』
バケモノになったら頼む、とアイツは言った。救いを・・頼むと・・・・
でも、殺したくなかった。なのに・・・・俺は・・・・
「俺は・・・・」
声を出すと、深い闇の中にいたような心が戻ってくる。
正気に戻ると目の前は血の海と化していた。赤・紅・朱
―――――コロセ―――――
これ以上何を・・『救え』と言うのだろう。・・・・動くものなんて何も。
なくはなかった
「・・
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