第百四話 決着
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は、その機体では不十分だという事を教えてやる!!』
距離を詰めたからこそ、シンは焦りを抑え込み、冷静に、そして集中して動く。逆に議長は突破されると思っていなかったこともあってか、少し――――ほんの少しだけ動きに焦りが見えた。
光の翼を最大出力で煌めかせる。幻影や光の翼による余波を警戒した議長は左手に持ったビームトマホークで翼を切り裂く。それと同時にシンは左足で蹴る様に動かした。だが、それもすぐに議長は隠し腕のビームサーベルによって足を貫く。
『これで止めだ!』
推力の基盤となる翼を破壊し、左足を貫くことで動きを止めたと議長は判断し、そのまま腹部の拡散ビーム砲が放たれようとする。シンはパルマフィオキーナを放つが、その攻撃はもう一本の隠し腕のビームサーベルに止められた。
「――――!!」
このままじゃ負ける――――だが、シンには恐怖が感じられなかった。いや、感じる必要性が無かったというべきなのかもしれない。
『――――二発目だと……!?』
シンは何故か察していたのだ。ゲルググから放たれた二発目のビームを――――逆に議長の頭に浮かんだのはありえないという思いだった。そもそも一発目を放った時点で議長は驚きを隠せずにいたが、二発目は明らかに不可能な筈だ。
視界の端に見えたゲルググは議長自身が撃ち抜いた胸部が露わになっており、モノアイが稼働していなかったことから目視で狙った筈である。
戦闘中に移動している状況でこうも接近して戦っていた状況で狙い撃つなど不可能に近いことだ。さらに言えば、ゲルググは限界を迎えていたはずであり、一発目ですら自滅の危険性があった。二発目などほぼ確実に自滅する事だろう。
『それすらも無視して撃っただと……』
《一発目はアンタに撃たれた借りを、二発目はシンに対しての感謝だ》
テキストメッセージでその言葉がナイチンゲールに送られる。二発目のビームライフルはシンのデスティニーとナイチンゲールの中間点をすり抜けた。その直線に流れたビームは隠し腕を仕込んであるスカート部を抉るように破壊した。
「裏切って一人だけで戦った、アンタの負けだ!!」
『まだだ、まだ終わらんよ!!』
スカート部が破壊されたことで、拡散ビーム砲は機体の損傷によって暴発の危険性が僅かながらだがあると判断し、ビームトマホークを構えて斬りかかる。
『その右腕の武器だけで私を斃せると思うな!』
シンは掌を握り、殴りかかる様にビームトマホークにぶつかる。
一瞬の拮抗――――デスティニーの手に輝いていた光がナイチンゲールのビームトマホークに圧し負ける様に押される。
「行け、デスティニー!俺達の運命を切り拓くために!!」
――――デスティニーの拳に集束していた光が霧散した―――
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