第26話「麻帆良祭〜贈る言葉〜@」
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タケルには既に普段どおりの砕けた言葉で話をしている。
「……まぁ、俺は気にしていないが」
呟くタケルに「あら、じゃあいいじゃない」とまるで長年の友人であるかのような気さくな対応。
――悔しい。
なぜか負けたような気になった佐倉は唇をかみ締める。
高音を「お姉様」と呼び慕っている佐倉にしても高音が気さくに接してくれるようになったのはある程度の時間を要したのだ。
別に高音を人間として尊敬しているだけでアブノーマルな恋愛感情などない彼女だが、それでもやはり悔しいものは悔しい。
――地味な先生と馬鹿にされてるくせに。ネギ先生よりも年上なのに彼の副担任でしかないくせに。
そんな想いが彼女の胸を渦巻き、気付けばタケルをまるで敵視するかのように言葉を発していた。
「――大和先生!」
「?」
高音と談笑していたタケルが会話を中断し、佐倉に目を向ける。
「そういえば、今日はネギ先生が告白指数が危険な生徒と一緒にデートしてましたよ!」
「……ああ」
一瞬だけ考えるような素振りをみせ、すぐに思い当たったらしく頷いた。
「クラスでもネギはモテ男だから」
別にうらやましくもなさそうに呟くタケルがさらに佐倉を苛立たせる。
「問題はそこじゃありません! 問題は世界樹の危険域でデートしていたことです!」
「……何?」
さすがに驚いたらしい、声色が微妙に変わった。
「しかも、女性徒を捕まえようとした私達の制止を振り切って逃げたんです!」
「……あいつ」
今度は身じろぎもせずに頭を抱える。急に疲れた様相を見せるタケルに、佐倉はまるでしてやったというような表情を浮かべ、さらに口を開こうとした時だった。
〈こちら世界樹観測班!発光量わずかに上昇!現在高度180CD!!〉
最悪な通信が届いた。
「っ」
即座にタケルが動き出す。
「え、嘘!?」
「告白したんですか!?」
高音と佐倉が同時に狼狽し、その瞬間にはタケルが小さな声で「ガンツ、位置を教えてくれ」と誰にも聞こえないように呟き、駆け出していた。
「ちょ、猛君! 場所わかってるの!?」
気付けば随分と親しくなった彼女の問いに、レーダーに目を向けつつも「ああ」
その言葉に、タケルの後ろをついて走り出す彼女達だったが、それでも既に遅すぎた。
ここから十数Mはあるであろう高さの建物の屋根に一瞬で飛び移ったかと思えばすぐさま屋根から屋根へ。
まるで弾丸の如き速さで遠のく彼の姿に
「嘘」
「すごい」
先ほどまで敵意むき出しだった佐倉すらも感嘆の息を吐きだし、タケルの背を二人して見つめてしまうのだった。
「「――って、はっ!?
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