第26話「麻帆良祭〜贈る言葉〜@」
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も動けるようにとベンチで休憩していたタケルの側を二人の女子生徒が少し不機嫌そうに通り過ぎた。
自然と目がその二人へと注がれた。2人とも美人だが、それはあくまで一般的な範囲であって一目惚れする範囲ではない。ましてや、楓という想い人がいるタケルの目が奪われるはずもない。
タケルの目が向かったのはただ単に知った顔だったからだ。
片方は麻帆良学園の女子中等部の生徒で、2年生の佐倉 愛衣。何度か職員室で顔を見かけたことがある程度の関係だ。もう一人は麻帆良学園の女子高校生で名は高音・D・グッドマン。確か高校2年生でタケルと同い年だったはずだ。
両者共に魔法生徒で、なかなか優秀らしい。彼女達もまた今日という日を見回りに費やしているのだろう。
普段の学園生活では知りうることのないタケルと彼女達だが、お互いに見回り組みということで今日、初めて知り合うことになっていた。
タケルの目が向かったのと同時、高音の目がこちらに向いてバッチリと視線がかみ合った。
「あ、大和……くん? それとも先生って呼んだほうがいいかしら?」
先ほどまで機嫌が悪そうだった顔が一変。普通の知り合いと話すような表情になる。他人を不快にさせないためか、はたまた気持ちの切り替えが上手いのか。
――出来た娘だな。
他人事のような感想を持ちつつも、彼女の問いに答える。
「……好きに呼んでくれたらいい」
「そう、じゃあ大和君は休憩?」
「少し疲れてきたからいつでも動けるように座っている。まぁ……休憩に近い……か?」
「え、私に聞かれても」
困ったように呟く高音に「じゃあ休憩じゃないということで頼む」
全く表情を変えずに呟くタケルに、高音が呆気にとられたような顔をして見せたのは一瞬。すぐに「クスクス」と笑い出す。
「?」
なぜ、高音が笑い出したのかがわからずに隣の佐倉に顔を向けるが、彼女もまたよくわからないらしく、首をかしげている。
「あの、お姉様?」
「あ、ごめんなさい。大和君が噂以上に変わった人だったから」
「……俺が?」
その噂が気になったタケルだったが、それを言及しても仕方ないのであえてそこはスルーした。
それよりも本人を目の前にして変わった人間という発言をするのもなかなかにいい根性をしている。
それを告げられると高音は自分でも不思議そうに首をかしげた。
「あら? それもそうね、ごめんなさい。私と同じ年齢で魔法を知っている人ってなかなかいないからかしら。ちょっと親近感があるのかもしれないわね」
この高音の言葉に誰よりも驚いたのは普段から慕っている佐倉 愛衣。普段なら初対面の人間には出来るだけ丁寧な言葉に接しようとするのが彼女の流儀。それなのに初対面の
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