紅の雨 その二 貴女の名は・・・
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「それは無理だよ」
「何でだよっ?やってみなくちゃわかんねーだろうがっ」
「そうじゃない。悪魔は通常会話で人の心に付け入る隙を作る。だけど、僕たちはその隙を知らなければ、この方がいつ悪魔と会話したのかも知らないじゃないか」
「そ、うだったな」
その返答にはあと、ため息を吐く彼と本当だってと、何やら焦るクセの激しい髪の青年を尻目に考え込んでいた彼女に少女はおずおずとした調子で話しかけてくる。
「あ、あの……ごめんなさいっ」
「?何故謝る」
「だっ、だって……勝手に着替えさせてしまったから」
「しかし、それは諸事情あってのことだろ」
「そうですけど…」
「なら、不要だ。それとも私に腹を立てて欲しいのか?」
その問いにしえみは物凄い勢いで頭を振る。
それは幼子がする様に良く似ていて、ついふっと笑みが頬を緩ませた。
それをどう受け取ったのか、まだ申し訳なさそうに上目遣いでこちらに視線を送ってくる姿に彼女は苦笑する。
「名は何と言う?」
「私、ですか?私は杜山しえみと言います」
貴女は?と、問い返されることを予期して名乗ろうと開いた口元にはいつまで経っても言葉は発せられなかった…。
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