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ストライク・ザ・ブラッド 〜神なる名を持つ吸血鬼〜
戦王の使者篇
07.舞威媛の襲来
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頼む」
「──
命令受諾
(
アクセプト
)
」
お茶を運んできたメイド服の少女に、彩斗らは驚き顔を上げる。
銀色のトレイを抱いて立っていたのは、藍色の髪の少女だった。
人工的な顔立ちに、感情のない淡い水色の瞳。ほっそりとした未熟な身体を、露出が高めのエプロンドレス。
「おまえ、オイスタッハのオッサンが連れてた眷獣憑きの──!」
「アスタルテ……さん!?」
「ああ。そういえば、おまえたちは顔見知りなんだったな」
那月は表情を変えずに言う。
「なんでこの子が学校にいるんだよ。いやそれよりもあの服はなんだ!?」
「おおよそ、あの事件関係で那月ちゃんがこの子の身元引受人になったんだろうな。それでメイド服は、那月ちゃんの趣味だろ」
古城と雪菜に説明するように彩斗は、眈々と口を動かす。
「話す手間が省けてごくろうだったな、緒河彩斗。だが……」
いきなり頭蓋骨に衝撃が走る。
「痛っ!?」
「私のことを那月ちゃんと呼ぶなと言っているだろう」
痛みに耐えながらもメイド服姿のアスタルテを見る。
彼女は、那月に命令された通りに紅茶の準備をし始める。その表情は変化がないが、どことなく楽しそうに見えた。
「南宮先生。ガルドシュを捕まえても無駄というのは、どういうことですか?」
少し脱線した話を雪菜が戻した。
「捕まえても無駄とは言ってない。おまえたちがそんなことをする必要はないと言っているんだ」
「え?」
「黒死皇派どもはどうせなにもできん。少なくともヴァトラーが相手ではな。やつはあれでも”真祖にもっとも近い存在”といわれている怪物だ」
「でも、黒死皇派の悲願は、第一真祖の抹殺だと聞いています。彼らはそれを実現する手段を求めて絃神島に来たのではないのですか?」
那月は退屈そうに首を振った。
「そうだな。だから無駄なのさ。ガルドシュの目的はナラクヴェーラだ」
「ナラクヴェーラ……?」
聞き慣れ言葉に、雪菜が眉を寄せる。
「南アジア、第九メヘルガル遺跡から発掘された先史文明の遺産だな。かつて存在した無数の都市や文明を滅ぼしたといわれる、神々の兵器だよ」
「神々の兵器……って、なんだそのヤバそうな代物は? まさか、そいつが絃神島にあって言い出すんじゃないだろうな」
「表向きには、もちろんあるはずのないものだが、実はカノウ・アルケミカルという会社が、遺跡から出土したサンプルの一体を非合法に輸入していたらしい。もっともそいつは少し前にテロリストどもに強奪されてるんだがな」
「あんのかよ!? しかも盗み出されたあとなのかよ!?」
「九千年も前に造られた骨董品のことで、おまえはなにを焦ってるんだ?
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