第百五十四話 北ノ庄その一
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第百五十四話 北ノ庄
信長は一乗谷に向かった、だが一乗谷城は門徒達により占拠されていた。城に灰色の旗が幾つも見える。
織田家十五万の軍勢で城を囲む、それで言うのだった。
「さて、ではじゃ」
「はい、今からですな」
「城を攻めますか」
「その用意をせよ」
城攻め、それのだというのだ。
だがそれだけではなくだ、信長はこうも言った。
「それと共にじゃ」
「誘いますか」
「降れと」
「降れば命は取らぬ」
それはこの戦でもだというのだ。
「村に帰れとな」
「ではその様に」
「ここでも」
「うむ、門徒達に伝えよ」
城の中にいる彼等にだというのだ。
「わかったな」
「はい、それでは」
「今より」
「今はおらぬな」
信長は城を見つつ鋭いものを見せた。
「あの者達は」
「ですな、闇の旗はありませぬ」
「一つも」
「うむ、ない」
間違いなかった、旗は灰色の旗ばかりだった。あの闇の旗は一つもなかった。
森がそれを見てだ、信長に言った。
「殿、若しや」
「この城はじゃな」
「はい、戦にならぬやも知れませぬ」
「そうじゃな、城の門徒の数も少ないな」
旗、そして城の中から聞こえる声からわかることだった。
「五千といったところか」
「ですな、それ位かと」
「対する我等は十五万」
「攻め落とせます」
三十倍の数だ、それならだ。
「そうなります」
「そうじゃな、ではな」
「向こうもそれがわかっております」
城の中の門徒達もだというのだ。
「ですから」
「うむ、では城の者達が降ればじゃ」
ここでだ、信長は森にこう述べた。
「坊主達に話を聞きたい」
「城の中にいるですか」
「長島の時と同じやも知れぬが」
それでもだというのだ。
「話を聞きたい」
「左様ですか」
「やはり気になる」
「あの闇の者達ですか」
「門徒達ではあってもじゃ」
こうとしか考えられなかった、このことはどうしても。
しかしそれでもだ、門徒達であってもだというのだ。
「普通の者達ではないからな」
「ですな、何かと」
「あの者達なら知っているやも知れぬ」
こう思ってのことだった、それでだった。
信長は森にだ、こう言うのだ。
「だから聞くぞ、坊主達に」
「それでは」
こう話してそしてだった。
信長はまずは使いを出して城の中の門徒達に降る様に言った、門徒達はその話を聞いてからこう言ったのだった。
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