暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
9.愚者の思考
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、それは確かに減っていることが解った。

「……ふ……ふふ、ふふふふふ」

 向こうの攻撃は当たってない。でもこっちの攻撃は当たった。
 それさえ頭で解ってしまったら後は楽だった。
 避けて切って、避けて切って。
 キリュウさんに教えてもらった踏み込みをいくつか試したりする余裕も出来た。

「うおーりゃ〜〜ッス!!」

 そして、ついにイノシシを倒すことができた。
 昨日今日とわたしたちを苦しめたあのコンチキショウは、わたし自身の手によって光の粒に変えてやった。
 爆発して光の粒になったとき、なんてあっけない消え方なんだって思った。
 わたしの視界の隅で、イノシシを倒したことで取得した経験値が数秒表示されて薄れるように消えた。

「わ、たし……自分で、倒せたんスよね……? あの、イノシシを……」

 何かが自分の足元から込み上げて来て、そのままバーンて弾けそうな、そんな感じ。

「……ぁ……ゃ……った……」

 声を出したいのに喉で詰まって、もうちょっとで出そうな、そんな感じ。

「……ゃっ…た。……やった……やったっ」

 SAO(ここ)に来て、色んなことがあって、それで溜め込んだ何かを全部吐き出すように、わたしは叫んだ。

「やっ…………た――――――ッス〜〜〜〜っ!!!!」

 我を忘れて叫びまくったわたし。後で聞いたら二、三分は叫び通しだったって言われた……ちと恥ずかしいッス。



 その後、我を取り戻したわたしは、戦闘中に調子に乗ってしまったこと――攻撃しながら高笑いとか、イノシシの突進をバレリーナスピン避けとか――をゲンコツ付きでキリュウさんに怒られました。はい、すみませんでしたッス。
 うーむ。すごく強いと思ってた相手が、実は物すんごく弱いと気付いたら、なんかつい調子に乗っちゃうんだよね。
 お前みたいなザコにビビッてたわたしは何だったんスか〜オラオラオラ〜、みたいなさ。

「……ふぅ」

 今はネリーがイノシシと戦ってる。
 ネリーは昨日も一人だけちゃんと戦えてたように見えたし、今だってキリュウさんの教えてくれ通りに無難に戦ってる。
 ちなみに戦った順番は、わたし、レイア、ネリーだ。レイアはすでに戦いは終わっている。
 何というか、叫んだりとかはしてなかったんだけど、レイアの戦い方はどこか鬼気迫ってるというか、そんな感じがした。
 別に無理矢理攻撃を当てに行ってるってわけでもなく、ちゃんとキリュウさんの言いつけは守ってるんだけど……それでも、自分の魂を削ってるような、そんなちょっと怖い風に見えた。
 キリュウさんもわたしと同じ感想だったみたいで、レイアが戦い終わった後になんか話をしてた。

「…………」

 キリュウさんって不思議な人だと思う。
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