暁 〜小説投稿サイト〜
SAO 〜冷厳なる槍使い〜
SAO編
序章  はじまりの街にて
9.愚者の思考
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わたしはピンと背筋を伸ばして手を挙げた。

「……どうした?」

 普通に知らない人が見たら睨んでるような目つきで訊いて来るキリュウさん。
 でもあれが素なんだと解ってから、もう全然怖くなくなった。むしろ……いや、ナンデモナイデス。

「はい! わたしが一番最初に戦うッス!」
「え!?」
「ち、チマ?」

 ――ふっふっふ、驚くのはまだ早いッスよ、お二人さん。

 これからわたしの本気を見せてあげるんスから!







 と、思っていた時代がわたしにもありましたー。

「ギャ――――ッス!!」

 いや待って。ホント待って。これを一人はマジ怖いって!
 正直、昨日は逃げ回ったり、石をぶつけて挑発したりしただけで、ちゃんとコイツと対峙するってのは初めてなのだった。
 いや最初はね、キリュウさんのやってた通りに軽やかに動いてシュパッって感じで攻撃するイメージをちゃんとしてたんだよ。
 でもさ、でもね、イノシシが走ってくると、ドドドドドっていう段々地鳴りが大きくなっていく感じがさ、こうなんていうかな、恐怖を駆り立てるっていうかさ、そんな感じで何でか知らないけど動けなくなるんだよね。

「――チマッ!!」
「……っ!」

 不意に聞こえた、大気が震えるようなほどの大きな声に、気付けばわたしの体は動いていた。
 突進してきたイノシシの横に滑るように移動した、移動できたわたし。
 さっきまで全然動けなかったのに。

 ――今の声って……キリュウさん、ッスよね?

 初めて聞くキリュウさんの大声。さっきから応援してくれているネリーとレイアよりも大きな声だった。
 イノシシと距離が出来た私は少しだけ、離れた場所にいるキリュウさんたちの方を見る。

「……チマ。冷静に相手を観察すれば怖くはない。……冷静に、冷静にだ」
「チマー! 頑張れー!」
「頑張って!」

 3人の声援を受けるわたし。でも何故かわたしの頭の中には「冷静に、冷静に」というキリュウさんの 言葉だけが深く浸透してきていた。

 ――冷静に、冷静にだ。

 少し視界がクリアになったような、重かった体が軽くなったような、そんな感覚。

「……あ」

 自分の変化に驚いていたわたしは、再びこっちに向かってくるイノシシを確認した。
 何でだろうか、イノシシの動きがさっきよりも遅く感じる。
 いや、違う。わたしがしっかりとイノシシを見てるからゆっくりに感じるんだ。

 ――これならイケルかもしれない。

 わたしはイノシシの突進を左に移動することで避け、横を駆け抜けようとするイノシシの勢いを利用して、イノシシの側面を剣で擦るように切った。
 そして、振り返ってイノシシの頭の上にあるHPバーを見ると
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