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ヘタリア大帝国
TURN131 二度破られるものその十

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 大和の廊下に倒れ込む敵兵を見てだ、言うのだった。
「セーラ=ブリテン女王は何処!」
「!?まさかの女」
「噂に聞く」
「我が名は山下利古里!」
 エイリスの将兵達に名乗る。
「日本帝国陸軍長官!お手合せ願いたい!」
「何と、陸軍元帥自らか!」
「戦うというのか!」
「それはそちらとて同じ!」
 エイリス軍もだというのだ。
「セーラ女王も先頭に立ち戦われているではないか!」
「だから陛下とか」
「元帥自ら戦うというのか」
「女王陛下に対して僭越なのは承知」
 陸軍長官といえども身分が違うというのだ。
「しかし陛下さえ宜しければ」
「戦われると」
「そう言うのか」
「宜しいか!」
 こうエイリス軍、大和の中で対峙する彼等に問う。
「返答や如何!」
「武士だな」
 山下の後ろには東郷がいる、その彼が山下に言う。
「そうして自ら名乗るとは」
「私は武士だ」
 まさにそうだとだ、山下は正面を見たまま毅然として答える。
「それ故にだ」
「作法に則り名乗りか」
「お相手を望んでいるのだ」
 まさにそうしたというのだ。
「私もな」
「成程な、見事だな」
「見事か」
「利古里ちゃんは日本になくてはならない人材だ」
 東郷はその山下にこう言うのだった。
「精神的な意味でもな」
「武士道は日本の心だ」
「しかし今の日本ではな」
「貴様もだ」
 山下は東郷のその一見すると軽薄な性格についても言った。
「その芯はわかっているつもりだがな」
「それでもか」
「そうだ、その表の顔は何とかしろ」
「これが俺だからな」
「全く、仕方のない奴だ」
 こうにこりともせず述べる。
「しかしその貴様もだ」
「俺もか」
「日本にとって必要だ」
 東郷、彼もまただというのだ。
「陸軍と海軍もまた、だ」
「まさに国家の両輪だからな」
 内務省と外務省もだ、即ち日本帝国はこの四つの輪があってこそ動く国家なのだ。
「そのどちらが欠けてもだ」
「何にもならないな」
「いがみ合っていてもな」
 大戦初期の東郷を認めず陸軍への敵愾心を持っていた己への反省も踏まえての言葉だ。
「それも何にもならない」
「お互いを知り共に日本の為に働く」
「それが為に海軍も貴様も必要だ」
 日本の為にだというのだ。
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