5:容疑者
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雑に下ろしてくれた。
伸ばした黒の癖毛を後ろに束ね、妙に青白い肌に痩せて浮き出た頬骨が目立つ、どこか猛禽類めいた顔立ちが特徴的だ。体も良く見れば痩身だがかなり筋肉があり、言葉と声同様に厳つい印象を受ける。
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「ところで、さっきから気になってたんだがよ」
デイドがぐるりと首を回して、アスナとリズベットの背中に隠れるシリカを見下ろすように睨んだ。シリカがビクッと一瞬体を浮かす。
「どの道、テメーらはこの後ユニコーンを狙うんだろうが……なんでこんな所に一人だけ低レベルなアイドル様が居るんだ? あ?」
「えと……あ、あのっ……あ、あたしっ……」
ハーラインとの会話からすっかり臆病腰になって竦んでしまったシリカは、口は何とか開くが、声がうまく出せなかった。ピナが代弁するように方から飛び立ち、威嚇するように小さな牙を剥く。だが、デイドは怯みもせず彼女を睨んだままだ。
「テメーの事は知ってるぜ、《竜使い》。新聞とかに時折載るちょっとした有名人みたいだが……強さはせいぜい中層ゾーンがいいとこの中級者だろーが。なぜ五十二層なんかに居る?」
「まぁ、そうカッカせずに。ちょっと待ちたまえよ」
その時、不愉快そうなデイドの肩に、ハーラインが手をポンと置いた。
「君……デイドと言ったかな? まずは落ち着きたまえ、レディにそう接するものじゃ……」
「うるせぇ! オレはちゃんと冷静だ、引っ込んでろナルシ野郎!」
「せ、せめて名前で呼んでくれたまえ……」
デイドはハーラインを無視して肩の手を振り払い、一度俺達全員を軽く見回す。そしてますますシリカを訝しむ目で睨んだ。
「オレもレベル79のベテランだからな。一目見りゃ装備や雰囲気で大体分かるが……テメー以外の連中は、この階層に見合ったかなりの強さだ。だが、低レベルなテメーだけが何故そのグループに居るのかが分からねぇ。……テメー、まさかアレか」
デイドが苛立ちに目を歪めた。
「自分はアイドルだから、美味しい狩り場に連れてって、倒して来て、私のレベルを上げてきなさい。そして、ドロップしたアイテムも事件を解決した名声も私のもの……ってやつか?」
「なっ……!? ち、ちがっ……!」
「オレはな、テメーみたいなブリッ子ヅラして、自分の手すら汚さねーヤツは大嫌いなんだよ!! ……ここはテメーのお呼びな場所じゃねーんだよ。悪い事ァ言わねぇ、テメーの仲間の経験値効率の為にも、テメーは自分のチヤホヤしてくれる場所へ帰りな」
「……っ!? ……〜〜〜っ!! ……〜〜っ」
一方的に捲くし立てられ、言いたい事も言えなかったシリカは、ついに無言でプルプルと肩を震えさせながら顔を伏せた。それからす
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