5:容疑者
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ずダントツに長大な槍を背中に担ぐプレイヤー。
残る一人は先の二人と比べても格段に小柄だ。防具の類は一切無く、服はまるで太古の西洋の投獄者に着せられているような、粗末でぶかぶかな麻の長袖チュニックと長ズボンのみを着、頭部と首元を隠すフードも、武器を包む布でさえ同様のガサガサの布だ。
と……
「――まったく、容疑者だの不気味だの……出会い頭に随分と言ってくれるね、君達」
その中の一人、長身の豪奢なマントが肩をすくめながらフードを下ろし、顔を露にした。
ブロンドに染め優美に仕立てた髪、SAOでは珍しい片淵眼鏡を掛けた知的な顔も、少々腹立たしいまでに整っている。マントの奥の服装はマントに合わせて青基調で多くの装飾が施されたキッチリとした制服。
総じて見ると、一昔前の英国軍服を纏った、軍師や参謀長のような男だった。
「容疑を晴らす為、あえて率先して自己紹介をさせてもらうよ。――私はハーライン。武器装飾店を営むスミス兼ランサーだ。以後、お見知りおきを」
胸に手を当て、優雅な仕草で軽くお辞儀をする。
だが、それは俺から微妙に角度がズレており、どこかおかしい……
と思ったら、よく見れば、それは俺に礼をしたのではなく……
「――おおっ! サインを頂いた時も感激の極みだったが、改めて見るとますます美しく愛らしいじゃないか! アスナ君にシリカ君!」
俺の後ろに並ぶ女性陣しか見えていなかったようだ。ニヤけた顔でイケメンが台無しになっている。
俺の事は露知らずと言った風にニコニコと二人に近付こうとするのを、俺は軽くギャップにズッコケそうになりながら、何とかクールさを装い、手を伸ばし遮った。
「アンタ、悪いが今はそういうのは止してくれないか。彼女らからアンタへの印象が悪くなるぜ? ……死神の疑惑も含めてね」
すると、この優男はここで始めて俺を目で捉え、口惜しそうに眉尻を下げて口をへの字にひん曲げた。
「むう、それもそうだがね……だが、握手くらいはいいんじゃないのかい? 会い見える事など、そうそうないのだから……」
「ダメなもんはダメ! 特にシリカは、そういうのが苦手で怖がってるんだから!」
何故か妙に怒った風なリズが勇んで進み出た。その後ろには彼女を盾にしているシリカも引っ付いている。
「ああ、君からもサインを貰いたかったんだけどね。流石に断られるのが目に見えてたから、予めスルーしておいたよ、リズベット君」
「ご親切にどうも! もし、せがんで来てたらそのキザ顔、ぶん殴ってたわよ! このナルシストッ!」
ナルシストと蔑称された彼は微笑みながら肩をすくめて、溜息と共に首を軽く左右に振った。
「やれやれ、酷い言われようだね。いつも言ってるが、レディならもう
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