5:容疑者
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…………。
視線こそ至る所に感じるが、進み出てくるものは誰も居ない。俺以外は誰も声も物音も出さない静寂が続く。
……それもそうだ。端から見れば俺は、ただの怪しい道化もいいところだろう。
だが、これならどうだ……?
「――集まってくれた者には、ユニコーンの詳細な情報を教えるぞ!! さらに先着十名様には、ここに居る……かの《閃光》アスナと、アイドルプレイヤー《竜使い》シリカの直筆サインも付いてくる!!」
「「えっ!? ちょっと待って(下さい)!?」」
集まらなければ、一肌脱いで、とびっきりの餌を撒くのが一番だ。
……
…………
………………
「……一人だけ、奥の建物の中に居るままの様ですけど……他の人は残らず全員集まったみたいですよ、キリトさん……」
「……キリト君。ダシに使われるのって、思ってる以上に凹むんだよ……?」
「果たしてコイツ等は情報に釣られたのか、サインに釣られたのかはさて置き……今ほど、自分が二人よりも地味目な女の子で良かったと思った日は無いわ……。それにしてもオトコって、ホント馬鹿よねー」
俺は先程の同行の許可を脅された時のお返しとばかりに、三人のジト目を華麗にスルーしつつ、集まったプレーヤー達を睥睨する。
死神調査に協力するという崇高な理念の下、迅速に集まってくれた実に紳士的な戦士達は皆、そこそこにレアな装備を揃えた強者のようだった。……ただ、その顔はサインを受け取れたとか受け取れなかったとかで一喜一憂する表情で台無しではあるが。
「みんな、まずは集まってくれて本当にありがとう! 最初に、俺がこれから指す人は残ってくれ! それ以外は情報を見て解散してもらって構わない!」
まずは前提条件で最も分かりやすい、外見上重鎧を着込んでおらず、かつ棒系統の両手武器を担いでいるプレイヤー以外にはユニコーンの情報が書かれた羊皮紙を見せてから退場してもらい、残った人数を確認する。
普通なら、これだけの条件でまず限りなくゼロに近付くのだが……
「残った容疑者は……三人か」
「意外と多く残ったね……」
「……それに、なんだか不気味な人達です……」
残った三人は、まるでマトリョーシカの様に身長が大中小とハッキリと差があった。しかも、揃いも揃って全員が頭にはフードを深く被って顔を隠し、その内二人は武器まで布で覆い隠しているという……正直言って、かなり怪しいナリだった。
怪しいと言っても、三者三様に実に個性的ではある。
一人は青の布地に白や黄のレースに刺繍など華美な装飾がついたファー付きのマントを羽織る長身のプレイヤー。
もう一人は中背で皮で出来た軽鎧を着込み、頭から肩までを赤黒く染めたフードで顔を隠した、三人の中で唯一武器を隠さ
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