第143話
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制理は麻生の姿を見ると、嬉しそうに駆け寄り他の子供に紹介する。
そして、子供達と一緒に遊ぶ事になった。
おそらく、これが最初で最後になるであろう子供のような遊びを麻生は体験した。
星から真理を見せられた麻生にとって子供の遊びなど全く意味が無い。
そもそもする必要も、面白味も感じないだろう。
だが、麻生は少し、ほんのちょっぴりだが楽しいと感じた。
これも制理に出会わなければ感じる事はなかった筈だ。
遊び尽くした後、日が暮れ解散となる。
皆が家に帰る時、制理は麻生に言う。
「また明日も来る?」
そう聞く制理だが、麻生は首を横に振る。
「いや、もう来ないよ。」
「えっ・・どうして?」
その言葉を聞いて悲しそうな顔をする。
麻生は言葉を続ける。
「次はもう楽しむ事はできないと思うから。
こんな奴が居たら楽しい遊びも楽しくなくなる。」
「そんな事ないよ!
私は恭介が一緒にいたら楽しいもん!!」
制理の言葉を聞いた麻生は少しだけ唖然とした表情になる。
今にも泣きそうな顔になっている制理を麻生は優しく抱き締める。
「泣かないでくれ。
お前が悲しんだから、俺も悲しくなる。」
自分が泣かせている原因だという事は分かっている。
だが、次にここに来ても麻生は今回のように楽しみ事はできないだろう。
そこまで自分は腐っている。
こんな奴と遊べば制理や他の子供も腐ってしまう。
だから、麻生はこう言った。
「こうしよう。
制理が強くなったら、また遊ぼう。」
「本当に?」
「ああ、約束だ。」
そうして麻生は小指を差し出し、制理も自分の小指を麻生に絡ませる
指きりのおまじないの言葉を言って、そこでテレビを消すかのようにその場面が消えた。
これが今朝見た麻生恭介の夢である。
一方通行と別れてから、麻生はぶらぶらと散歩しながら打ち止めを探していた。
地下街の近辺を中心に探しているが、その姿らしきものは確認できない。
何より、一人で打ち止めを見つけるのに無理がある。
能力を使えばすぐに見つかるが、そんな緊急事態でもないのに能力を使うのも馬鹿らしい。
眠そうに欠伸をしながら麻生はふと思い出した。
(そう言えば、懐かしい夢を見たな。)
今朝見た夢を麻生は思い出す。
あれは麻生がまだ子供の頃だった。
真理を見た麻生は子供の頃の記憶が曖昧でよく覚えていない。
確かに覚えているのは愛穂と桔梗と制理に命を救われた所くらいだ。
それ以外はあまり覚えていない。
だから、制理とあんな約束をしたのも今朝の夢を見て、思い出した。
それがきっかけなのかも
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