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戦争を知る世代
第八話  戦争の序章
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ぁぁあ、ぐぁぁあ。」

痛い、痛い・・・・
痛いのに、
少しずつ、少しずつ意識が遠くなる。


バタッ!

俺は体を支えられず、仰向きに倒れる。
上を向いているはずだが、何も見えない。



“俺は死ぬのか?”
ふと、そんなことが頭をよぎった。


いやだ、死にたくない・・・
死にたくない!


いろんな人の顔が頭をよぎる。
父親・・母親・・・妹・・・・恋人・・・・
大切な人たち、大好きな人たち。

会いたい、もう一度会いたい。


死にたくない

死にたくない

死にたくない

死にたくない



何も見えない。

怖い

悲しい

辛い




ーその時

小さい光が見える。
少しずつ少しずつ、その光が大きくなる。



青と白、そんな色が見える。
あぁ、空か。


いつの間にか景色が見えるようになっていた。




木々の間から、
青い、ほんとに青い空が見える。
遠い、大きい、空が見える。


手を空に伸ばす。


手は痛みでプルプルと震えている。



いつの間にか怖くなくなっていた。
その代わり、空から目が離せない。


もう、他に何も考えられない。



青いなぁ・・大きいなぁ・・





ーすっと現れた鳥が空に昇っていく。



あぁ、俺もそこに行きたいなぁ・・・・。
青い空に、その大きな空に。












火の国暦60年7月1日 木の葉隠れの里 アカデミー

ふしみイナリ





教室が静まりかえっている。
授業でもこんなに静かな事なんてない。


それだけじゃない、みんなの顔がひどい。
先生の顔はこれでもかと強張って、目をぎゅっと瞑っている。
一人の生徒は泣きそうな顔をしている。
また別の生徒は怒っているかのような顔をしている。
驚きを隠せない顔、不安でいっぱいの顔、理解できていない顔。


隣にいるハナは・・・心配そうな顔をしていた。
カタナは・・無表情だ。



「もう一度、言う。」
静かな教室に緊張した先生の声が響く。





「緊急学徒動員策が発布された・・・ここ、アカデミーの生徒も戦争に参加する。」


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